豪州:大型のサイクロンが上陸し、石炭を輸送する鉄道に大きな被害、復旧に1カ月以上

掲載日:2017年4月6日

2017年3月28日、サイクロン「Debbie」が豪州東部のQLD州Bowen付近に上陸した。サイクロンに備えて、BHP Billiton、Glencore等の一部の炭鉱が操業を停止すると共に、Abbot Point等の石炭輸出ターミナルも操業を停止、さらに石炭を運搬するAurizon社の鉄道の一部も運行を停止した。

その後、サイクロンは通り過ぎ、被害の状況が明らかになってきている。各社の炭鉱には大きな被害は出ていない模様であり、4月4日付け地元紙によれば、BHP BillitonにおいてはPCI炭を生産するSouth Walker Creek炭鉱を除いて、全てのQLD州の炭鉱が操業中である。また、Glencoreについても同様に全ての炭鉱、銅、亜鉛鉱山が操業中である。

しかし、Aurizon社の石炭を運搬する鉄道の路線に被害が生じており、これらが全て復旧するには1カ月以上を要すると見られている。同社は3月29日の段階で同社の Goonyella鉄道、Newlands鉄道及びMoura鉄道についてフォース・マジュール(不可抗力)を宣言していた。

Aurizon社によれば、同社の鉄道のうちGoonyella鉄道が大きな被害に遭っており、このうち最も大きなものはSarina地区西方のBlack Mountainにおける路線上で発生した地滑りである。同社は、初期段階の見通しとして、同鉄道の復旧には約5週間を要すると予測している。同鉄道はQLD州で生産される石炭の約半分を輸送する大動脈であり、産炭地のBowen BasinとDalrymple Bay及びHay Point石炭輸出ターミナルを結んでいる。

この他、Gladstone(石炭輸出ターミナル)を結ぶBlackwater鉄道とMoura鉄道は、それぞれ1週間、2週間以内に運転が再開される見込みであり、Abbot Point(同)を結ぶNewlands鉄道は運転再開に2~3週間を要する見込みである。Brisbane(同)を結ぶWest Moreton鉄道は既に運転を再開している。

Aurizon社は、Goonyella鉄道の運行停止により輸送経路を迂回させようと試みているがダイヤの組み直しや船積みの手配等は複雑であり、効果は限定的であるとみられている。なお、同社は今回の鉄道の運行停止が2016/17年度の収益にどの程度の影響を与えるのかを述べるには時期尚早だとしている。

S&P Global Platts社は、原料炭については1,500~2,000万tの輸出の障害が発生すると予想している。これを金額に換算すると約30億USD分となる。また、今回のサイクロンの上陸により2017年4月~6月期の原料炭の価格交渉は延期されたが、今後の交渉は、石炭を販売する側に利するものになると予想されている。

(シドニー事務所 山下宜範)

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