ポーランド:石炭業界 融資確保が困難に

掲載日:2017年6月16日

6月8日付けの地元報道によると、ポーランドはEUと石炭に関しては考え方が異なるが、幾つかの国内最大規模の発電会社や石炭会社は、石炭の流れは変更する時期だと認めた。

EUの東部では最大規模の経済力があるポーランドは、エネルギー安全保障と安価な電力確保には、地元産の石炭を使用する石炭火力発電所は必要だと主張している。この主張は、EUの二酸化炭素の大幅な削減政策に反対するものであり、ポーランドは石炭への取り組みでは、取り残されている。世界的な気候変動への取り組みのなか、ポーランド国内の右よりの政府、業界、国営企業は、温暖化への取り組みは開始していない。

国際銀行のポーランド部門は、その他の金融機関と同様に、グリーン政策にて融資を縮小しているが、ポーランドの発電所と鉱業界には、西ヨーロッパの仲間と同様の行動を求めた。ノルウェー政府投資ファンド、JPMorgan Chase & Co社、Allianz SE社は、石炭プロジェクトの停止又は投資縮小を決定した。同時期、フランスの発電会社EDF SA社とEngie SA社は、長期の排出削減計画に基づき、ポーランドから撤退し、発電所を地元の公営発電グループに売却した。

エネルギー省の大臣は、需要の増加、設備の更新に合わせるためには、2025年までに追加発電所(発電能力10 GW)建設には600億ズロチ以上が必要となり、その大部分は石炭火力発電所になると語った。しかし、これは、短期的な解決策でしかないとした。更に、2050年までには、現状80%の石炭火力を50%に削減するためには、2,000億ズロチが必要だとした。

国内第2位の発電会社Tauron Polska Energia SA社のCEO代理は、石炭利用を50%まで削減する考えは、前進に向けた一歩だとし、妥協に近づくとした。しかし、ポーランドとEUの規制が違っていると、長期に亘る操業はできないと語った。銀行協会から石炭向けの融資は制限され、投資を得ることが更に難しくなっている現状では、この石炭50%の考えは、投資を得る際の支援になるとした。同社は、3月、石炭問題にて市場からの資金調達が困難になっているとしていた。

3月、発電競合会社であるEnerga SA社は、投資家の要求に答えて、新しい債券からの収益は、計画している石炭火力発電所には使わないことを保証した。同社は、国営発電会社4会社のうちで最小規模だが、配電網の改善に3月、3億ユーロを計上した。EU最大のコークス炭会社JSW SA社のCEOは、二酸化炭素排出削減を表明しないと、融資を受ける可能性が低いと語った。

ポーランドは、最近では、EUとの石炭論争では何らかの変更を行う条件を示した。内閣は、EUに対して、排出量の削減のために、石炭火力発電所を継続する代わりに、原子力発電建設を提案した。石炭火力発電所は、クリーンコール技術で建設される。

Siemens AG社の地元発電部門の責任者は、ポーランドの石炭は産業界の大きな部分を占めるが、今後は、転換が必要だが、転換は、発展であって、革命ではないとした。同社は、欧州最大のエンジニアリング会社で、ポーランドの石炭火力発電所・ガス火力発電所、風力発電所に発電機を納入している。納入先には、Tauron Polska Energia SA社、PKN Orlen SA社が含まれる。同責任者は、ポーランド政府の石炭擁護の考えは理解するが、同時に、エネルギーミックスの大幅な変更では、再生可能エネルギーが世界的な潮流であり、その流れを止めてはいけないと語った。

1 ズロチ = 29.70 円 (2017年6月12日現在)

(石炭開発部 辻  誠)

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