豪州:エネルギー政策立案の議長、石炭火力は競争力がないと発言し、石炭派の議員が反発

掲載日:2018年5月10日

5月4日付けの地元紙によれば、エネルギー安全保障会議(ESB)のKerry Schott議長は「今後豪州では新たな石炭火力発電所に対して投資がされることはない」と述べ、「何故ならば風力や太陽光発電よりも常にコスト高になるからである」とも述べた。ESBは連邦政府のMalcolm Turnbull首相が進める新たなエネルギー政策である「国家エネルギー保証(NEG)」政策の草案を作成している。同議長は「新規の石炭火力は風力や太陽光と比べて競争力はなく、また、電力の常時利用可能性(dispatchable)を確保するためにはガス火力や揚水発電と組み合わせれば良い」と述べた。そして「大きな技術の進展がなければ、石炭火力は2050年までにその役目を終えるであろう」と述べた。

この発言に対して石炭推進派の与党議員で結成されたグループである「Monash Forum」所属議員が反発した。同グループに所属するTony Abbott前首相は「ESBが作成したNEG政策の案は『技術的中立』ではなく、事実上『反石炭』なのではないか」と疑問を呈し「非常に失望した」と批判した。同じく同グループに所属するBarnaby Joyce前副首相も「馬鹿げた話だ」などと述べて同議長を批判した。

エネルギー政策の担当大臣であるJosh Frydenberg環境・エネルギー大臣は「投資家は既存の石炭火力のアップグレードの方に関心があるであろう」と述べた。新規の石炭火力発電所は5年以上の建設期間を要することから「稼働率と資本利益率に不確実性がある」と述べている。また、NEGについては「石炭、再生可能エネルギーのいずれかを勝者として選び出すものではなく、全ての技術が各々のメリットを基に競争していくものである」と述べた。

一方、Matt Canavan資源大臣は「2017年に連邦政府のFinkel首席科学官が出したエネルギー政策に係る報告書によれば、太陽光及び蓄電池の組み合わせは新規の石炭火力発電よりも70%以上もコスト高である」と指摘し、「Schott議長は何をもってそのような考えを示したのか証拠を示すべきだ」と述べた。

(シドニー事務所 山下宜範)

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