豪州:鉱業協会、「石炭火力は揚水発電よりも競争力あり」と反論

掲載日:2018年6月7日

5月25日、豪州鉱業協会(MCA)は、豪州エネルギー市場オペレーター(電力・ガス市場及び系統の運用機関:AEMO)の統計を引用し、豪州東部の電力市場(NEM)における昨夏の石炭火力発電所の発電電力量が、過去10年間で4番目に多いものであったとしている。

2017年12月1日~2018年4月30日までの間、NEMにおける石炭火力からの電力供給の割合は76%以上であった。2番目に大きかったのはガス火力であったが、こちらは10%以下にとどまった。州別にみると、石炭火力からの電力供給の割合はNSW州では89%、QLD州では85%、VIC州では82%であった。

これらを踏まえ、MCAは環境団体や緑の党が石炭火力を信頼出来ない発電だと主張しているのは誤りであると指摘すると共に、5月22日にSnowy Hydro社のCEOが主張した新規の高効率・低排出(HELE)石炭火力発電所は、Snowy 2.0揚水発電所と比べて電力価格や信頼性において劣るとした指摘も正確ではなく、2017年に発表された独立機関からの調査レポートとも矛盾すると述べた。

MCAによれば、HELEの石炭火力の場合、24時間グリッドに接続して電力を供給するコストは最低で40AUD/MWhであり、中間の価格で59AUD/MWhである。一方、Snowy 2.0揚水発電所において、水を汲み上げる際のコストは40AUD/MWhであり、発電した電気をグリッドに接続する際の電力販売価格は80AUD/MWhとなり、石炭火力よりも高価格になる。さらに、新たなポンプや発電機の資本コストをカバーするためには、この揚水発電の電力価格は100 AUD/MWhとなり、また、送電網の大規模なアップグレードが必要な場合は、120 AUD/MWhに近づくと指摘した。

また、HELEの石炭火力はグリッドに接続するときにフレキシビリティが無いとする主張も誤りであると指摘し、ドイツのNeurath石炭火力発電所は、500MWの出力の上下動が15分間で出来ること、また、現在の石炭火力はフル出力から20%にまで出力を下げることが出来ると主張している。

(シドニー事務所 山下宜範)

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