豪州:石炭企業は気候変動に係る情報公開を増加すべき:地元紙

掲載日:2018年6月28日

6月19日及び22日付けの地元紙は、気候変動に係る関係者のコメント等を引用しつつ、石炭企業は気候変動に係る情報開示を増加すべきであるとの見解を示している。

地元紙によれば、同18日に豪州証券投資委員会(ASIC)のJohn Price委員が、「各企業は法的要求事項を超えて自主的に気候変動リスクに係る情報開示をすべき」旨のスピーチを行った。Minter Ellison法律事務所のSarah Barker弁護士も、Price氏のスピーチは「気候変動に係る法規制のパズルの最後のピースである」と述べている。また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」が示した気候変動リスクに係る情報開示のあり方に係る提言を受けて、豪州証券取引所(ASX)の上場企業の多くもこれに基づいて情報開示を行うことを表明している。連邦政府もASXも、「TCFDの提言内容が各企業において導入されるべきであり、本件のためには会社法の改正は不要である」旨の考えである。2017年には豪州健全性規制庁(APRA)のGeoff Summerhayes理事は「気候変動のリスクを無視すれば今後金融企業はリスクにさらされる」と警告していた。
 
一方、地元紙によればYancoal社、Whitehaven社及びNew Hope社の各石炭企業は、堅調な石炭価格を享受しているものの、気候変動リスクに対しては通り一遍の言及しかしておらず、アジア市場に影響を与えるかもしれない厳格な気候変動への対応との関わり合いがほとんど議論されていないと指摘し、これら3社の年次報告等における気候変動に係る情報開示の状況についても下記のとおり報じている。
 
Yancoal社のスポークスマンによれば、「当社はTCFDの提言について検討は行っているものの、本件は法的要求事項ではなく、当社では法的要件を満たしつつ真摯に情報開示を実施していく」と地元紙に対して述べている。Yancoal社は、2017年の年次報告において気候変動及び炭素規制リスクについて4パラグラフの文章で触れており、「法的規制により石炭生産が削減されるかもしれない」としつつも、その影響については記していない。
 
Whitehaven社のMark Vaile会長は、2017年の年次報告において「高品質の石炭は日本や韓国における炭素排出削減目標の達成を助ける」として、高効率・低排出(HELE)の石炭火力プラントへの支持を表明している。しかし「パリ協定」のシナリオについては言及があるものの、それがビジネスに対してどのような意味を持つのか示しておらず、また、投資家向けのプレゼンにおいてはIEAによる楽観的な石炭需要の予測を示している。
 
New Hope社のRobert Millner会長は、2017年の年次報告において「HELEの石炭火力がアジア全域に建設され、豪州の高品質の一般炭はアジア市場で成長を続ける」としている一方、エネルギー消費と排出量に係る記述は4パラグラフに過ぎない。

(シドニー事務所 山下宜範)

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