豪州:「石炭の現実」対「石炭の死というフェイクニュース」:地元紙社説

掲載日:2018年7月12日

7月3日付けの地元紙は、「石炭の現実」対「石炭の死というフェイクニュース」と題した社説を掲載している。概要は下記のとおりである。

・「石炭の死」は大きく誇張されている。数年前の価格低迷時、反石炭の活動家や環境保護を訴える人たちは、再生可能エネルギーが増加し、汚い石炭は座礁資産として投資家の墓場に入ると予測した。

・しかしアジアの発展は石炭供給の超過分を吸収しており、インフラや建築物を作る鉄を製造するための高炉用に豪州の原料炭が必要とされ、また、安価でクリーンなエネルギー供給のために豪州の一般炭が必要とされている。この結果、石炭は鉄鉱石を抜いて豪州最大の輸出品になろうとしており、2017/18年度には610億AUD分の輸出が行われた。

・皮肉なことに人口が最大の2州(NSW州及びVIC州)では老朽化した石炭火力が閉鎖され、また、ガス開発も規制されている。しかしながらアジアの石炭消費の増加によって豪州の生活水準が向上している。

・2017年11月のQLD州議会の選挙において、労働党政権は、Adani社が開発する予定の炭鉱で使用される鉄道の建設に対して連邦政府が資金を提供することに反対した。しかし再選された労働党政権は石炭のロイヤルティによって思いがけない大きな収入を得ており、石炭の探鉱鉱区の入札も実施した。

・抗議運動を行う活動家、銀行を威嚇するソーシャルメディアの活動家、石炭プロジェクトを避ける銀行、これらによって新たな石炭への投資は効果的に保留させられたが、これは政治的な妄想の世界であった。

・これにより豪州は成長市場におけるシェアを失った。Yancoal社は豪州で事業拡大のための増資を行うことが出来ず香港にも上場しようとしている。

・現実の世界においては、800kgの原料炭によって1tの鉄が作られ、1tの一般炭によって1家庭で4カ月間使用される電力が賄われる。豪州は世界の原料炭生産の17%を占め、世界の原料炭輸出の45%を占めている。2017/18年度においては輸出金額は380億AUDである。一般炭の輸出はインドネシアに次いで世界第2位であり、世界の一般炭輸出の19%を占め、輸出額は230億AUDである。

・民間資金では石炭火力発電の建設のリスクをとることは出来ないかもしれない。しかし政府の新たな電力政策「NEG」の下では、よりクリーンで高効率な石炭火力発電所の建設には意義があるのではないか。

・また、豪州の石炭は高熱量、低灰分であり、気候変動問題への取り組みが行われる中で貧困にあえぐ多くの人々の助けになる。

・各地の煩わしい規制は、世界で使われている更に汚い石炭に対して意味を持つのである。

(シドニー事務所 山下宜範)

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