豪州:Tony Abbott前首相、豪の「パリ協定」からの離脱を主張

掲載日:2018年7月12日

7月4日の地元メディアによれば、連邦議会の自由党議員であるTony Abbott前首相は「豪州は2015年に署名された『パリ協定』から離脱すべきである」と述べた(注:自由党は国民党と共に連邦議会において与党:保守連合を形成している。)。

Abbott氏は、3年前の首相在任時には「パリ協定」に同意していた。しかし今回Abbott氏は「もし我々が米国の『パリ協定』離脱を知っていれば、また、再生可能エネルギーが我々の電力システムや産業を傷つけることを知っていれば、この協定に加わることはなかっただろう」と述べた。その上で「今、我々が実施出来る最善の方法は『パリ協定』からの離脱である」と述べた。これらは7月3日の夜に同氏がAustralian Environment Foundationにおいて講演した際の発言である。
 
この発言を受けて、Julie Bishop外務大臣(自由党)は「豪州は『パリ協定』に署名しており、同協定を遵守する」と述べると共に「豪州は信頼出来るグローバルパートナーとならなければならない」、そして「同協定に基づく目標を達成させる」と述べた。
 
今回のAbbott前首相の発言は、政府が策定中の新たな電力政策である「国家エネルギー保障(NEG)」制度に係る法案が連邦議会に上程された際には同法案に反対する、との強い意思を示したものとみられている。しかしながら、Abbott氏は「国民は同制度に懸念を持っているのであり、我々には政権を破壊する意図はなく、守ろうとしているのだ」と述べている。

国民党のGeorge Christensen議員もNEGを批判しており、NEG法案に反対する姿勢を見せている。同議員は現在策定中のNEGにはベースロード電源の導入のためのインセンティブが設けられていないとして「NEGは支持出来ない」と述べている。同じく国民党所属でQLD州が地元であるMichelle Landy議員及びKen O'Dowd議員の両議員も、新規の石炭火力発電所の建設に対する資金供給を主張しており、Abott前首相が主張した「『パリ協定』からの離脱」についても同調した。
 
一方、国民党所属の議員であり閣僚メンバーとなっているDavid Littleproud議員(農業・水資源大臣)は、Abbott氏の発言を「首相を離れた一議員の見方として尊重する」と述べつつも「我々豪州はグローバル経済の一員であり、グローバルな約束をしている」として、「豪州は国際的な義務を遵守する」との立場を述べた。

(シドニー事務所 山下宜範)

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