豪州:QLD州の原状回復に係る新制度、既存の鉱山には適用外で「抜け穴」ありとの見方

掲載日:2018年8月9日

8月6日付けの地元メディアによれば、2018年2月にQLD州政府が州議会に提出した法案に盛り込まれた鉱山跡地の原状回復に係る厳格な制度は、既存の鉱山には適用されず、「抜け穴」があると報じている。同法案は2018年中に可決されて法制化される見込みとなっている。

この法案は、新たに鉱山を操業する際には閉山後の原状回復方法等を記載した「漸進的な原状回復及び閉山計画(PRC Plan)」を提出させることとしているが、既存の鉱山にはこの義務は課されない。また、原状回復が実施出来ない場合は、安全であること、環境に有害でないこと、他の用途に用いること等について根拠を示すことが求められ、また原状回復の計画はパブリックコメントにかけられることになる。しかし、既存の鉱山にはこれらの義務は課されず、多くの鉱山は市民による精査を経ることなく危険な跡地が残されたままになる、と報じられている。

既に操業を終了したEbenezer炭鉱(QLD州)を保有するZedamar社では、露天採掘の跡地の穴をごみ埋立地として売却することを探っているが、周辺住民は「空洞を残すのではなく、ごみ捨て場にするのでもなく、土で埋め戻して植栽すべきだ」と主張している。同社は原状回復のための保証金を積んでいるが、その額はわずか130万AUDである。一方、褐炭炭鉱のHazelwood炭鉱(VIC州)の跡地の原状回復費用は4億3,900万AUDに達すると言われている。

環境保護団体のEnvironmental Defender's Office(EDO)は、今回のQLD州政府の新たな制度について、「氾濫原となっている場所に採掘後の穴を残すことは全面的に禁止されているが、これ以外は、全く十分なものではない」と批判している。

一方、QLD州資源協会(QRC)のIan Macfarlane CEOは、「既存の鉱山の採掘跡地については、開山時に規定されていた厳格な制度が適用されている」と述べ、そして「新規の鉱山はより厳格な条件が課されるが、既存の鉱山に対して遡及的に適用されることはない。もしそうすれば州の投資が崩壊する。QLD州の財務大臣からも確認を得ている」と述べた。

報道によれば、現在、豪州には大昔の遺構となっている跡地も含めて、5万箇所以上の廃止鉱山が存在する。QLD州では、1万5千箇所の廃止鉱山の跡地対策のために、数十億豪ドルの負担にさらされている状況を受けて、関連の改革を進めている。鉱山会社が破産した場合に備えるための原状回復に係る保証金については、鉱山会社から不足分を回収しており、過去12カ月で追加的に4億4900万AUDの回収を実施した。

(シドニー事務所 山下宜範)

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