米国:Peabody Energy社、Wyoming州Powder River盆地における2炭鉱のリース一部放棄

掲載日:2018年9月13日

8月30日、9月3日付の複数の地元メディアによると、Peabody Energy社は、米国内の電力需要減少を背景に、連邦政府からリースしているPowder River盆地のRawhide炭鉱・Caballo炭鉱の2炭鉱の一部リース放棄申請を行っている。米国土地管理局の文書によると、Peabody社は2017年2月にCaballo炭鉱の2,740エーカー、2018年6月にCaballo炭鉱1,775エーカーとRawhide炭鉱1,136エーカーのリース放棄を申請している。

Peabody社の2017年事業報告書によれば2炭鉱からは2,140万トンを販売しているが、Peabody社の主要炭鉱であるNorth Antelope Rochelle炭鉱に比べカロリーベースで劣るため、現在の市況では不経済と判断されたことが理由に挙げられている。なおPeabody社によるとこのリース放棄は生産量に影響しないとの事である。

米国の電力市場では天然ガスが支配的となっており石炭需要が縮小する見通しがある。Powder River盆地産の石炭は東海岸産に比べ熱量が低く輸送コストも高いが、低コスト開発が可能として注目され、オバマ大統領時代後半からリース申請が続き埋蔵量を増やしていた。しかし国内石炭需要が低迷し、石炭会社も生産量を縮小する動きがある。Arch Coal社は今年4月、同盆地最大の炭鉱であるBlack Thunder炭鉱の1,000万トン削減という「戦略的決定」を公表している。今回のPeabodyの放棄は、更に熱量ベースでの炭鉱の絞り込みを厳格化するものである。

今回の放棄はWyoming州にとって懸念材料となっている。2017年、内務省がリース申請における環境分析を1年以内と期限設定し、審査が進むと期待されたが、需要低迷を背景に、リース許認可はあまり進まず現在10億トン相当が審査中となっている。2018年5月、Cloud Peak社は地元団体・部族との調整等で時間を要する事を理由にリース申請の一時凍結を連邦に申請している。IHS Markitの石炭アナリスト、Jim Thompson氏によると、輸出先に劇的な変化がない限り、Powder River盆地の成長は期待できないという。

Wyoming州Powder River盆地資源協議会会長のBob LeResche氏は「Peabody社の石炭リース放棄の決定は州にとって懸念材料であり、Wyoming州の炭鉱閉鎖は時間の問題であると誰もが知っている」と語っている。

(石炭開発部 宮崎 渉)

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