米国:環境団体がTrump政権の石炭灰規制撤廃に対して訴え

掲載日:2018年11月1日

10月22日付けの現地報道によると、環境団体がTrump政権を訴えた。訴えの内容はTrump政権が企業の石炭灰の管理方法についての主要な法規制を撤廃したことに反対するもので、Earthjusticeを代表とする環境団体は環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)に対する訴えをコロンビア特別区(D.C.)巡回区控訴裁判所に提出した。

Obama政権時代の2015年に連邦レベルで初めての石炭灰の廃棄に関する法規制が制定された。石炭灰とは石炭の燃焼後に残る黒い残留物で、濃縮されたヒ素、カドミウム、クロムを含有する。石炭火力発電所は冷却水を必要とすることから、石炭火力発電所から排出される石炭灰の貯留池はしばしば水路の近くに配置される。

今年7月の法規制の修正では、氾濫した石炭灰貯留池清掃の時間的猶予を石炭火力発電所の所有者に与えるとともに、企業が汚染物質を監視する義務を免除する権限を州政府に与えた。

「次のハリケーンの季節までにこれまで貯留された石炭灰と不十分な貯留池の漏水防止処理の問題に対処しなければ危険が大きすぎる」とEarthjusticeのThomas Cmar弁護士は声明の中で述べ、「ハリケーンFlorenceの襲来時にSutton 石炭火力発電所において貯留池が氾濫し、有毒石炭灰がCape Fear川へ流出したことから、無駄にする時間が無いことは明らかだ」と、今年9月の事案を引用した。州政府は後にCape Fear川の汚染物質水準が州の定める最大値を超えなかったことを明らかにした。

「環境保護庁の十分な法規制が無ければ国中に無責任に石炭灰が廃棄される」「ハリケーンFlorenceの襲来時に我々が目撃したように、この地域と水脈を石炭灰貯留池の氾濫や長期にわたる汚染に晒す」と原告グループの一つであるWaterkeeper AllianceのLarissa Liebmann弁護士は述べた。

環境保護庁はこの訴えに対してコメントを出していない。今年7月の法規制修正の展開にあたり、Andrew Wheeler環境保護庁長官は「この法規制修正は州と発電事業者に対して石炭灰管理に必要とされる柔軟性を提供すると同時に人々の健康と環境保護も保障する」「今回の決定は過去の政権の画一的な政策からの決別を示すものであり、数千万ドルの法規制に係る費用を削減することができる」と述べていた。環境保護庁はこの変更によって企業の法令順守費用を年間3,140万USD削減できると試算した。

今年8月にコロンビア特別区巡回区控訴裁判所が行った裁定が、2015年のObama政権下の規制のいくつかの部分が不十分であるとしたことを環境団体は強調している。特に裁判官は閉鎖した火力発電所の石炭灰貯留池を規制対象外とすべきではなく、漏水防止処理のされていない貯留池を放置すべきではないと述べた。

(石炭開発部 弘中 孝宜)

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