米国:米国最大の鉱山労働組合から民主党への寄付金が増加

掲載日:2018年11月15日

10月29日の現地報道によると、Trump大統領が推進する石炭産業復興への期待感が薄れており、労働者年金の安全性に対する危機感が増していることから、米国最大の鉱山労働組合が11月6日の選挙において民主党に割り当てた寄付金の割合が2016年を上回った。

ロイター通信の選挙戦財務データの分析によると、アメリカ鉱山合同組合(United Mine Workers of America, UMWA)は、全国選挙において民主党の候補者と党委員会に約84%の資金を寄付した。これは、Trump大統領が石炭鉱山会社に業界の復活を約束した2016年から約20%跳ね上がっている。UMWAは今年になってから10月中旬までに総額100万USD以上ある資金のうち、いつもより多い91万USDを民主党への寄付と民主党を支持する広告に投じた。2016年11月の前回大統領選挙の時は、39万5,000USDの資金のうち10月中旬までの民主党への寄付額は25万USDであった。

この変化はTrump大統領と共和党による議会支配を維持する妨げになっている。Trump大統領は前回の大統領選で、Obama政権時の環境規制が石炭産業を崩壊に導くと批難し、これらを撤廃すると約束して多くの米国の炭鉱労働者の支持を獲得した。Trump政権は最初の2年間にいくつかの環境保護規制を撤廃したが、石炭産業復活の約束はまだ達成されていない。

ロイター通信の調査によると、政府のObama政権時の炭素規制の変更は米国の石炭火力発電所の停止を防ぐものではないことがわかった。エネルギー情報局(Energy Information Administration、EIA)によると、石炭火力発電所の閉鎖が続いている中で、今年の電力会社による米国の石炭消費は1983年以来最低にまで下がった。

「民主党を意図的に支持するのではなく、むしろ石炭会社の破産によって損なわれ、共和党が過半を占める議会が下支えしようとしなかった鉱山労働者の年金基金を支援する議員に寄付した結果に過ぎない」とUMWAは述べた。「共和党、民主党いずれを支持するにしても、候補者を支持するかどうかを決める基準は1つだ。議員が退職者の年金を維持しようとしているかどうか?もしそうなら、我々はその候補者を支援する」と、UMWAの広報担当者Phil Smith氏は語った。

Obama政権下の温室効果ガス規制を「石炭に対する挑戦だ」として、Trump氏がこれらを撤廃する公約のもと選挙戦を展開した2016年に、UMWAの民主党への支援が減少した。West Virginia大学の政治学者Simon Haeder氏は、「今年の組合の寄付は組合の中核的価値である労働者の権利に振り戻り、石炭王国への回帰の約束への期待から離れた」「”石炭への挑戦”の物語は基本的に終わった。今人々が懸念しているのは医療と年金だ。これら二つは、彼らの人生を支配する圧倒的な問題だ」と述べた。

それでも、UMWAの民主党支持は2010年代初頭を下回っている。 2014年に組合はその資金の92%、2012年には96%を民主党に寄付していた。

(石炭開発部 弘中 孝宜)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ