米国:増え続けるバイオマス燃料の生産は石炭を使用するより良くないと警告

掲載日:2018年11月15日

11月5日付けの現地報道によると、エネルギー生産のためのバイオマス燃料使用は石炭燃焼よりも多くの温室効果ガスを発生させる。米国のバイオマス燃料生産はTrump政権が木とその他のバイオマス燃料を発電のために使用することを支持して以来増加しているようだ。バイオマス燃料は石炭に変わるエネルギー源ではあるものの、汚い再生可能エネルギーだと考えられている。いくつかの科学者らはバイオマスエネルギーが石炭火力エネルギーよりも環境破壊的であると忠告している。

米環境保護庁(The Environmental Protection Agency, EPA)は木を燃やすことがカーボンニュートラルであるとみなされるべきだと述べてきた。米環境保護庁、米国エネルギー省及び農務省は下院議会のリーダーにバイオマス燃料使用を支持するレターを出した。レターの中で、バイオマスが一つのエネルギー問題への解であり、石炭に変わるエネルギー源であるとした。

米環境保護庁は木とそのほかの木質燃料を燃焼する発電所がカーボンニュートラルとみなされるべきであると述べている。彼らは、最終的に植物が成育することにより空気中から二酸化炭素を取り除くことが可能であるとしている。加えて、米環境保護庁は米国のバイオマス生産を促進する政策に協力することを約束した。この協力の中にはエネルギー省の研究への協力やユーティリティが石炭火力発電所を木質燃料発電所に変換することを推奨することも含まれる。米環境保護庁のAndrew Wheeler長官は、「この活動は結果的に支払いのいい職を地方のコミュニティーに提供し、国の空気の質を保護し、さらには不必要な法的負担を取り除く」と述べた。

環境保護主義者は米国で増え続けるバイオマス生産に反対している。多くの環境保護主義者が米環境保護庁のバイオマス生産支援策に同調していない。なぜなら、木を燃やすことは植物の中に貯留された二酸化炭素を放出することになるからだ。それに加え、バイオマス燃料生産のために燃やされた木を再生させるためには、もし完全にうまくいったとしても数十年以上の年月を要する。二酸化炭素の放出と植物を再生させるために必要な年月を考慮して、環境保護主義者らはバイオマス燃料が汚染源、この場合は石炭、よりも多くの二酸化炭素を放出すると結論した。「森林から得られたバイオマス燃料を発電に用いれば、すなわちそれが化石燃料を燃やすのと同等か、あるいはそれ以上の量の二酸化炭素を大気中に放出する」と70名以上の科学者がWheeler氏への手紙に署名した。もし、木がバイオマス燃料生産のために伐採され、そして再生されるなら、再生と化石燃料をやめることにより結果的には炭素負債(炭素排出を支出、炭素吸収を収入として”負債”は炭素排出が多い状態)を減らすことができるだろう。しかしながらバイオマス燃料により排出した二酸化炭素を再度吸収するために要する時間は、数十年から数百年にわたる。

米環境保護庁の科学アドバイザーは、バイオマス燃料がカーボンニュートラルであるとの仮定を同庁が用いることは根本的な科学に反していると警告し続けている。天然資源保護協議会(Natural Resource Defense Council)、Clean Air Task Forceと7つのそのほかの環境保護団体も増え続ける米国のバイオマス燃料生産が二酸化炭素放出を増やしていると考えている。

(石炭開発部 弘中 孝宜)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ