米国:Trump大統領がAndrew Wheeler氏を環境保護庁長官に指名へ

掲載日:2018年11月29日

11月16日付の現地報道によると、Trump大統領は11月16日金曜日、以前石炭業界のロビイストであったAndrew Wheeler氏を環境保護庁(Environmental Protection Agency, EPA)の次期長官に指名する意思を示した。この動きは同庁の(環境関連)規制撤廃の動きが継続することをより確実にするであろう。

Trump大統領はホワイトハウスで行われた大統領自由勲章授与式において、アドリブで発表を行い、「Wheeler氏はScott Pruitt前長官がスキャンダルで辞任したあと、今年7月上旬から同庁の指揮をとっており、環境保護庁の長官代理として直近の数ヶ月すばらしい業績がある」と述べた。

Wheeler氏の環境保護庁長官代理としての短い在職期間中に、彼は前長官との違いを打ち出してきた。Pruitt前長官が閣僚として脚光を浴びる政治家であったのに対し、Wheeler氏は舞台裏でエネルギー及び環境政策に携わり公衆の注目を避けてきた。

発足当初のTrump内閣が躓いた後、何人かの専門家が実力で昇進した。Wheeler氏は、米国保健福祉省(Health and Human Services)Alex Azar長官や米国退役軍人省(Veterans Affairs)Robert Wilkie長官らとともにそうした専門家達を代表する一人である。

法規制撤廃に対する熱意に関してWheeler氏と前任者には共通点がある。Wheeler氏は長官代理に就任した直後からPruitt前長官の方針を引き継ぎ、環境関連法規制を撤廃する意図を示していた。「大統領の方針を実行するために私は努力する所存だ。方針がすべて変わるとは考えていない。なぜなら我々は大統領が環境保護庁に課したことを実施するからだ」とWheeler氏は今年の夏、環境保護庁長官代理となった後にWashington Post紙に語っていた。

それから数ヶ月、環境保護庁が大気汚染防止規制の健康便益を算出する新しい方法を採用する動きに合わせて、Wheeler氏は石炭火力発電所における炭素排出量緩和法案を提案したり、自動車と軽トラックの燃費標準を緩和したりするなど、Trump大統領の方針を継続的に推し進めてきた。これらの提案は環境及び公衆衛生に関心のある団体から激しい批難を浴びてきた。しかしながらWheeler氏はキャリアの長い同庁職員に対し、Wheeler氏自身が従来彼らと同じような職域で働いてきており、彼らの仕事を尊重していると強調して協調的な立場をとっている。Pruitt前長官はGlider kitsとして知られる、新車両に古いエンジンを搭載した長距離トラックに対する排ガス規制緩和を打ち出して議論を巻き起こしたが、Wheeler氏はその環境規制緩和を延期した。

今週、Wheeler氏は大型トラック(注)から排出される一酸化窒素に対してより厳しい制限を課すと発表し、トラック製造業界と米国肺協会から賞賛された。Wheeler氏は間違いなく産業からの支援を受けることになるだろう。

「Andrew氏は環境保護と経済成長を両立する助けになるだろう」と米国商工会議所のGlobal Energy InstituteのKaren Harbert代表は述べた。

Bracewell法律事務所に所属するエネルギー業界のロビイストであるScott Segal氏はWheeler氏選出を良い選択だと述べた。「Andrew Wheeler氏の経歴は、透明性のある経営プロセスを採用し、法を遵守しながらエネルギーと環境と経済の適切なバランスを推し進める能力を示している」とSegal氏は述べた。

Wheeler氏指名は議論を巻き起こすだろうが、上院の指名承認公聴会で承認される見込みだ。彼は今年4月に現職の承認を得たときも53対45で、3名の民主党員が彼の指名を支持した。その際、いくつかの民主党上院議員が彼のMurray Energy社(米国石炭会社の一つ)、鉱山会社、およびその他エネルギー事業における彼の仕事に疑問を投げかけた。

上院の環境及び公共工事委員会のメンバーである民主党Thomas R. Carper上院議員はWheeler氏の指名を支持するかどうか決める前にWheeler氏の働きを評価すると述べていた。「もし大統領がAndrew Wheeler氏を環境保護庁長官に指名するなら、委員会メンバーがWheeler氏の就任以来同庁にいくらかの改善をもたらしたか見るため、Wheeler氏は委員会に来るべきだとCarper上院議員は述べた。

(注)大型トラック:Heavy-duty-trucks、車両総重量15metric tons以上のトラック

(石炭開発部 弘中 孝宜)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ