米国:米環境保護庁が炭素排出規制を緩和

掲載日:2018年12月13日

12月6日の現地報道によると、米環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)は新設の石炭火力発電所に対し、炭素排出に関して緩い基準を認める新しい規制を提案した。米環境保護庁は「Obama政権時の規制では、新設の石炭火力発電所に対して1,400lbs/MWh未満の二酸化炭素排出を要求していたが、規制の変更により1,900lbs/MWhまで二酸化炭素排出を認める」と述べた。

Obama政権下の規制では石炭火力発電所は天然ガスを使用したり、炭素回収装置を導入したり、あるいはあまり一般的でない、よりエネルギー効率の高い技術を導入するなどして炭素排出を削減する必要があった。

米環境保護庁の長官代理であるAndrew Wheeler氏は木曜日にWashingtonで記者会見に出席し、「新しいエネルギー技術が米国の未来の一部となるよう我々は競争環境を平準化し、不公平な負担を取り除こうとしている」と述べた。

Delaware州選出の民主党Tom Carper上院議員は、その発表が国連気候変動枠組み条約の年次会合期間中に行われたものであり、政策の不連続性が非常に危険であると指摘し、「世界各国が気候変動に対処するため意味ある解決策について議論している中で、米環境保護庁は汚染を撒き散らす石炭技術を広めることで問題を悪化させようとしている」と述べた。

Wheeler氏は2015年のパリ協定後も、特にアジアで石炭使用量が増加していると指摘し、石炭燃焼技術を改良することで世界的な炭素排出削減に貢献できるとした。「米国の前政権はエネルギーミックスから石炭を排除しようとした。それはクリーン・コール・テクノロジーを米国でこれ以上開発しないことを意味する。我々の提案は米国においてよりクリーンな石炭技術への投資を促進するものだ」とWheeler氏は述べた。

Obama政権時代の米環境保護庁の基準は大気浄化法(Clean Air Act)のSection 111(b)に定められている。その基準では新設の石炭火力発電所は実質的に炭素排出を最小限に抑制するための設備導入を求められており商業的には実現可能ではなかった。今回提案された規制緩和は連邦官報(Federal Register)に掲載される予定であるが、米国における石炭火力撤退の潮流を変えることができるかどうかは疑問が残る。石炭産業はより安価でふんだんに存在する天然ガスとの競争に過去10年の間晒されており、Donald Trump大統領は選挙運動の時に石炭産業の復興を誓っていた。かつて石炭が席巻していた電力市場に風力や太陽光発電のような再生可能エネルギー源が食い込んでいる。米国における石炭使用量は2007年にピークをつけた後44%も減少した。米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Agency, EIA)は2018年の米国における石炭消費量が1979年以来最低を記録するだろうとしている。

(石炭開発部 弘中 孝宜)

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