コロンビア:ナショナル大学が調査報告書を国家審議会に提出、フラッキングを疑問視

掲載日:2020年4月23日

3月29日の現地報道によると、ナショナル大学の専門家が構成する学際的チームがフラッキングについて行った技術調査の結果として、国家審議会に提出した結論のひとつとして以下のように述べた。「最近まとめられた科学、医学、工学分野の文献で示された通り、フラッキング技術はコントロールも保証もできない多くのリスクがあるため、安全を確保してフラッキングを行うことは不可能である」
 
コロンビア政府は、国のエネルギー安全保障のためにフラッキングが必要であるとしており、鉱山エネルギー省は安全に行うことができると述べている。
 
国家審議会には、このナショナル大学の調査に加えて、政府の専門家委員会による報告書やその他の文書も提出されている。しかし、460頁に及ぶこのナショナル大学の調査は、経済、社会、環境、保健、気候変動への影響について地域レベルから地球規模の議論まで網羅していることから、全調査の中でも鍵となる。
 
フラッキングは2018年から中断されており、今回の調査に加わった9人の専門家の内6人が、この技術と関連するリスクについては、その一部だけが予測、緩和、回復可能であるとしている。調査の中で、2019年7月に国家炭化水素庁(ANH)がフラッキング候補地として指定した非在来型の12の鉱区の比較が行われた。その鉱区のいくつかは、熱帯雨林や熱帯乾性林、32,632ヘクタールの湿地などの重要な自然資源や、La Guajira県のWayuu族の7つの居住地、Yukpa族の2つの居住地等と重なっている。
 
フラッキングは化学薬品を含む大量の水を使用するため、地元コミュニティにおいて水不足の問題を生じる可能性がある。さらに、廃水が地表に戻り、別の水源に流れ込む可能性もある。また、調査によると、フラッキングを行う際によく行われているように地表に戻る廃水を廃棄用井戸に流し込むと断層を活性化し、地震活動を引き起こす可能性がある。
 
報告書では、様々なセクターに対する燃料やその他製品の生産を考慮すれば、国の経済にとって石油セクターは重要であるとしつつも、経済的な裨益に対し、環境、健康、農牧業生産システムに与えうる影響や被害を考慮すると、それらが本当に経済的・社会的利益となるのか疑問が残るとした(例えば、フラッキングを行う企業は、そのロイヤルティの40%が控除される優遇措置が定められている)。
 
パイロットテストについては、大半のリスクの影響は中・長期的に生じるため、短期のテストを行うことはあまり意味がないとしている。気候変動については、コロンビアはパリ協定で、2030年までにGHGの排出量を20%削減することを約束しているが、フラッキングによる石油生産を行った場合CO2排出量が増えるため、この目標の達成が不可能となる。
 
フラッキングについて定めた2つの規則(2013年政令3004号及び2014年決議90341号)については、全てのリスクを予測していないため、これらは不十分であるとした。一方で、同じくナショナル大学の3名の専門家により行われたもう一つの調査報告書(全177ぺージ)では、異なる結論を出している。
 
リスクについては、「実施される場所により生じるインパクトは異なる」としている。コロンビアにおけるフラッキングの影響をより深く知るためには、国家審議会が許可し、政府による政令が2月に出された通り、パイロットテストを行う必要があると上記報告書とは異なる結論を出した。
 
また、フラッキングは雇用を生み、ロイヤルティによる収入も生むため、国はひとつの選択肢として考慮すべきであると述べている。
 

(リマ事務所 栗原 健一)

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