英国: 保存鉄道、石炭供給の懸念を警告

掲載日:2021年1月14日

2020年12月23日の地元報道、2021年1月6日のBBC記事によると、英国保存鉄道を代表する保存鉄道協会(Heritage Railway Association:HRA)は、国内炭鉱開発計画拒否の報道を受け、2022年にウェールズ最後の炭鉱を閉鎖すれば2021年に石炭供給が枯渇し、運行停止やロシア等輸入炭で動かす可能性があると警告したという。

現在、蒸気機関車用の石炭を生産しているのはウェールズのマーサー・ティドビル(Merthyr Tydfil)北東部にある同州最後の炭鉱Ffos-y-fran炭鉱で、2022年に閉鎖予定となっている。先週、イングランド北東部Dewley Hillで新たな露天掘り炭鉱計画申請がNew Castle市議会により却下された(2021.01.14付『New Castle市議会、Dewley Hill炭鉱開発計画を拒否』参照)。蒸気機関車の燃料は、比較的無煙でクリーンな瀝青質の塊状の石炭であり、Dewley Hillの炭質も同様だった。しかし却下を受け、HRAは「この決定は、英国の伝統的鉄道の希望を打ち砕いた」と言及した。

蒸気機関車の運行継続には手頃な価格の石炭が必要だが、現在英国の一般炭在庫は2021年初頭までしかなく、国産石炭が供給できなければ、必要な石炭を輸入、貯蔵、取扱い、流通する方法を探さなければならない。

英国初の保存鉄道であるウェールズ中央部タリスリン鉄道(Talyllyn Railway)のスチュアート・ウィリアムズGMは「Ffos-y-fran炭鉱が2022年に石炭採掘を停止すれば、適切に供給できる石炭供給者が不在となる。主な代替供給源はロシアだが、ロシア炭はコストが高く、調達するとネット排出量が増加する。ウェールズ経済のためではなくロシア経済に資金投入することになるし、品質にばらつきがあり石炭が燃焼しない可能性もある」とし、「世界の反対側から石炭輸入するよりも、ウェールズで必要な石炭を採掘し続けたほうが理にかなっているのではないか。我々はこの問題をウェールズ政府と英国政府に至急提起しなければならない」と言及した。

また、グロスターシャーウォリックシャー蒸気鉄道(Gloucestershire and Warwickshire Steam Railway)のイアン・クラウダー氏は「我々は過去ロシアとポーランドの石炭を燃やした事があるが、それは汚く、大量の煙を出さずにエンジンを動かす事は困難だった」という。

保存鉄道全党議会グループ(Heritage Rail All-Party ParliamentaryGroup:APPG)共同議長のLizSaville-Robertsは「我々は昨年保存鉄道のための石炭の必要性の調査を行った。英国・ウェールズ政府が、ロシアや豪州等で適切な石炭供給源を探すよう鉄道に強制する事で遺産鉄道への責任を放棄する事を懸念している。蒸気機関車は、ウェールズや英国の他の地域で採掘されたクリーンコールを燃やすよう設計されており、適切な石炭の確実な供給がなければ、遺産の鉄道が機能しなくなる危険性がある」と言及した。

Steam RailwayMagazineのTom Bright氏は「我々はホグワーツエクスプレス、フライングスコッツマン、その他の有名な鉄道が海外炭に依存する未来に直面している」と発言した。

保存鉄道産業はCovid-19発生以前には年間26,000トンの石炭を使用していたと推定され、英国の炭素排出量の0.02%を占めている。

(石炭開発部 宮崎 渉)

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