中国:プーチン大統領がヤクーツクから中国への石炭輸送鉄道の新規建設を許可

掲載日:2021年3月25日

3月10日の現地報道によると、3月2日、ロシアのプーチン大統領が石炭産業発展問題ビデオ会議において、ロシア鉄道公開株式会社(以下、ロシア鉄道)が中国に続く新たな鉄道の建設を承認した。この総延長約1,000kmの鉄道と付随するインフラが完成すれば、主としてサハ(ヤクーツク)共和国産石炭の中国への輸出に使用される。

プーチン大統領は会議において、現在、ロシア産石炭の主要輸出市場はアジア太平洋地域であると述べた。2020年、ロシアの石炭の生産量は約4億トン(前年比▲9.2%)、輸出量は1.95億トン(前年比+0.9%)、このうち、アジア太平洋地区への石炭輸出量は計1.22億トンであった。プーチン大統領によると、アジア太平洋市場には旺盛な石炭需要があり、ロシアの石炭企業は石炭輸出市場拡大の機会を逃してはならないと述べた。ロシア鉄道の推計によると、輸送インフラ不足のため、東シベリアの炭鉱で採掘した石炭約5,600トンを国外に輸送できず滞留している。石炭滞留問題を解決するために、ロシア鉄道はBAM鉄道-Tenda-Komsomolsk-Vanino区間の拡張プロジェクト開始を提案した。プロジェクトには7,000億ルーブル(約96億USD)の費用が見込まれている。ロシア鉄道の計画によると、この鉄道の総延長は約1,000kmで、アムール川を越える橋とクズネツォフスキートンネル(ハバロフスク辺境)も建設される予定。

プーチン大統領はこの鉄道建設プロジェクトの提案を許可した上、ロシア連邦にBAM鉄道東部の拡張プロジェクトについてさらなる詳細案の検討を命じた。プロジェクトの建設資金について、ロシア国民福祉基金から割当てることに反対しないと述べた。しかし、実際にはロシア財務省のデータによると、2021年2月1日時点で、ロシア国民福祉基金の規模は13兆547億ルーブル(約1,833億USD)であるが、ロシア貯蓄銀行の株の購入、ウクライナの欧州債券の購入、国有銀行およびロシア外国経済銀行への資本注入などの業務により、実際は多額の資金を支出しており、同基金の流動性資産(ロシア中央銀行の口座に外貨で預けられている資金)は合計約1,164億USDであった。

3月6日のケメロヴォ州の石炭輸送保障会議において、ロシア連邦のミシュスティン首相は「ロシア連邦は2024年までに同国の交通輸送インフラの発展に7,800億ルーブルを割当て、一部はコンテナ輸送のインフラの近代化改造に使用する」「(2024年までに)ケメロヴォ州の石炭輸出量は30%増加し、東部鉄道幹線(BAM鉄道とシベリア鉄道を指す)の輸送能力は1億8,000万トンに達する」とし、BAM鉄道とシベリア鉄道の拡張を提案した。

ミシュスティン首相は、前述の2つの鉄道の現在の現実的な問題点を指摘しており、一部の区間では輸送力がかなり不足している。問題を改善するためには、新しいレールの敷設、駅の改修、電力供給の増加が必要である。極東地域からロシア西部国境までのコンテナ輸送期間を7日間短縮することを具体的な目標として、前述の2つの鉄道の近代化に向けた具体的な目標を定めている。ミシュスティン首相が会議で打ち出した計画によると、BAM鉄道とシベリア鉄道の近代化改造は2段階に分ける。第1段階は2021年に工事完了し、670kmの鉄道を近代化する。第2段階では1,300kmの鉄道を近代化する計画である。

ミシュスティン首相は関連部門に対し、BAM鉄道とシベリア鉄道の改造の四半期計画をなるべく早く作成し、鉄道の区間ごとに通過能力、輸送能力や貨物輸送列車の最大載貨重量などのパラメータを詳細に記載するよう命じた。ミシュスティン首相は、このほうが明確な計画が出来上がり、ロシア鉄道、企業、地方政府等のステークホルダーを導けると述べた。

(北京事務所 塚田 裕之)

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