ドイツ:2021年12月までに1.5GWの石炭火力発電所を停止

掲載日:2021年4月8日

4月1日の現地報道によると、4月1日にドイツのエネルギー規制当局であるドイツ連邦ネットワーク庁(Bundesnetzagentur)は、環境汚染を引き起こす石炭火力発電所の閉鎖コストを軽減するために2021年1月4日に実施された第2回入札の結果として、2021年12月8日までに1.5GW以上の石炭火力発電所を停止すると発表した。

メルケル首相は昨年、550億米ドルを投じて、2038年までに国内の100以上の石炭火力発電所を閉鎖する計画を承認している。また、欧州最大の経済大国であるドイツは、2050年までにほとんど炭素を排出しないエネルギーシステムを実現することを約束している。EU諸国のほとんどが、2050年までにカーボンニュートラルになることを目標としているが、ポーランドは石炭火力に大きく依存しており、一時的に免除されている。ドイツの電力会社は、2021年1月4日までに、今後17年間で石炭からの撤退を確実にすることを目的としたメカニズムに基づいての入札提出を行っており、褐炭を除く石炭火力発電所を閉鎖する際の価格を事業者が申告する入札が行われている。事業者には発電所閉鎖の見返りとして、損失の一部を相殺するための資金が提供されるが、規制当局は、請求額に上限を設けるため、1MWあたりの上限価格を設定しており、最終的な価格は、入札者の提示額と対象となる発電所のCO2排出量を考慮して決定される。2021年12月に停止する1,514MWの発電所は、ドイツの北海沿岸にあるUniper社の757MWのWilhelmshaven発電所と、チェコの事業者であるEPH社の690MWのMehrum発電所及び67MWのDeuben発電所である。

2027年以降は補償が受けられなくなるため、発電事業者は競合他社に負けないようにできるだけ低い価格で入札する準備をしている。ドイツ連邦ネットワーク庁の責任者であるJochen Homann氏は声明の中で、入札は今回も募集枠を超え、最高額の落札価格は、以前に設定した最高額を大幅に下回っている、と述べている。落札者の入札額は、1MWあたり0~59,000ユーロとのことであり、これは、規制当局が155,000ユーロ/MWの上限価格設定後に、入札者が発電所の閉鎖に対し応札した金額である。契約を獲得した発電所は、2021年12月8日以降は石炭を燃やすことができなくなる。今後2022年末までに2,481MWを閉鎖するための第3回目の入札が4月30日に締め切られる。

なお、2021年1月1日、規制当局は2020年9月に実施した第1回目の入札を受けて、4,788MWの石炭火力発電を停止した。また、ドイツは世界最大の褐炭生産国であり、国内の電力供給量の約19%を褐炭で賄っているが、褐炭は、発熱量が低いために燃焼量が多くなり、また有害化学物質などの不純物が多く含まれていることから、最も汚染度の高い石炭とされている。褐炭火力発電所の閉鎖については固定報酬のある別のスキームで実施される。

注:EUは2020年12月11日、ブリュッセルで開かれた首脳会議で、2030年に域内の温室効果ガスの排出量削減を1990年比で少なくとも55%削減とする新たな目標で合意し、この削減目標を実施するために必要な立法案を2021年6月までに提出予定である。

(石炭開発部 奥園 昭彦)

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