パキスタン: 中国・バキスタン経済回廊地帯(CPEC)でのプロジェクト 石炭火力発電を推進

掲載日:2018年12月6日

11月16日付けの地元報道によると、パキスタンの荒涼としたThar砂漠では、政府が慢性的なエネルギー不足の解消策と見なす中国支援の大規模石炭火力発電プロジェクトのトラックの大きな音が常に響いているが、同プロジェクトに対して、活動家は環境被害を警告している。

炭鉱建設、石炭火力発電所建設の完成に向けて昼夜、重機が動いている。当プロジェクトは中国・バキスタン経済回廊地帯(CPEC)での国家プロジェクトであり、中国政府は数十億USDを南西部の近隣国へ融資している。CPECのプロジェクトの多くは、国内でも停電にて市民に影響があり、数年間、経済が行き詰っている地域のインフラ整備と電力開発に向けられている。

石炭は環境への影響問題から、世界各国では潮流から外れてきているが、CPECで提案されている火力発電所17か所のうち9か所は石炭火力発電所である。南部Sindh 州Thar砂漠には1,750億トン(世界最大規模の石炭埋蔵量の一つ)の石炭が眠る。1992年に発見され、現在まで未開発であったが、完全操業になると石炭生産量は3.8百万トン/年と見込まれている。炭鉱から2~3 km離れたところにて、パキスタンと中国の労働者にて660 MWの石炭火力発電所が建設され、炭鉱からの石炭にて発電される。

政府の保証にかかわらず、当該プロジェクトは環境への影響を引き起こす。Thar砂漠の石炭種別は褐炭であり、発熱量が低く、二酸化炭素排出量が多い。

プロジェクト関係者は、炭鉱・石炭火力発電所の操業では、国内の環境法・国際的な環境法を順守すると強調している。しかし、石炭採掘・石炭火力発電所での燃焼に対して、不毛で広大な砂漠地帯の村人、水質保護活動家は、プロジェクトは地元環境を破壊すると語っている。

プロジェクト関係者は、国内の新規石炭火力発電所では環境汚染を最小化する最も効率的な技術が採用されると語った。

(石炭開発部 辻  誠)

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