南アフリカ:電力危機と国営電力会社Eskom改革

掲載日:2019年12月5日

11月29日の現地報道は、南アフリカは10年以上にわたり断続的な電力不足を引き起こし、経営難に陥っている国営電力会社Eskomの改革を試みているとのことで、以下のEskom財政上の問題点と改革計画に関する記事を掲載した。


発電量の不足
Eskomは、鉱山部門にサービスを提供するために1923年にホワイトマイノリティ規則の下で設立され、発電設備容量は世界のトップ20に入る電力会社である。

しかし、2007年以降、需要に応えられず深刻な停電が何度も発生している。現在、この公益事業の公称発電能力は合計で約44,000MWであるが、そのうち36,500 MWは15基の石炭火力発電所からなる。

Eskomは、老朽化した石炭火力の他にケープタウンの近くにあるアフリカで唯一の原子力発電所とガス、水力、風力発電所も運営しており、南アフリカの電力の90%以上、アフリカ大陸の電力の40%を発電している。

Eskomは、莫大な費用と工期の遅れに悩まされている2基の大型石炭火力発電所であるMedupiとKusileの完成を急いでいる。


債務・損失と救済
Eskomは、4,500億ランド(305億米ドル)の債務の返済に苦労しているが、これはMedupiとKusile石炭火力、燃料炭及び給与への支出が急増したために増加した。

また、経営陣は、長年の低く抑えられた電気料金のせいで、会社はコストを回収することができなかったことや以前の管理下での汚職スキャンダルを非難している。

2019年3月末までの1年間に200億ランドの損失を出したが、今年度も同様の損失が発生する見込みである。政府は、2019/20年と2020/21年に590億ランドを事業に投入することを約束し、更に次の10年間で2,300億ランドの救済措置が行うとしている。

しかし、アナリストは、これらの救済策でさえ、Eskomを長期的に持続可能なものにするのに十分ではないと述べている。10月に発表された政府のEskom救済計画の概要には、さらなる債務救済の詳細は示されていないが、財務省の役人は、Eskomの債務を国債と交換し、その債務を特別な目的の手段に移すなどの選択肢を検討していると述べた。


Eskomの3分割
Cyril Ramaphosa大統領は、国民に向けた演説の中で、Eskomをより効率的なものにするために、発電、送電、配電の3事業体への分割を公約した。

政府は、2020年3月末までに国有のEskom持ち株会社内に分離した送電ユニットを設置することを優先し、2022年末までに3事業体への法的分離が完了すると述べている。

その目的は、事業の透明性を高め、経営効率を改善し、汚職を最小限に抑えることである。一部のアナリストは、労働組合の激しい反対とエネルギー部門の既得権益を考慮すれば、分割計画の完全な順守には懐疑的である。Eskomの従業員数は46,000人を超えており、多くのアナリストが過剰と考えている。

Ramaphosa大統領は、Eskomの民営化を否定し、解雇ではなく自発的な退職パッケージがスタッフに提供されることを約束している。南アフリカの失業率は29%に上り11年ぶりの高さであるため、人員削減はデリケートな問題である。

(石炭開発部 奥園 昭彦)

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