南アフリカ:リンポポ州の石炭火力発電所プロジェクトは頓挫する可能性がある

掲載日:2020年11月19日

11月13日の現地報道によると、南アフリカでの民間事業者による石炭火力発電所建設プロジェクトは、延期され、環境認可を失い、出資者がプロジェクトを見限ったため、頓挫する可能性がある。

リンポポ州で計画されているThabametsi石炭火力発電所の環境認可は、今月になって取り消され、プロジェクトの推進者が計画を進めようと決めた場合、新たな認可を得るのに何年もかかる可能性があるが、これがプロジェクトの完全な終わりを意味するかどうかを言うのは難しく、もしプロジェクトを先に進めたいのであれば、環境アセスメントは本質的に再検討する必要があるだろうと、ケープタウンの環境権利センターの弁護士で、本発電所プロジェクトに反対し、環境活動家を代表して5年を費やしたNicole Loser氏は述べた。

南アフリカでは、石炭火力発電所で発電される電力が供給電力の大部分を占めているが、石炭火力発電所への反対が強まっていることから、この勝利がもたらされた。南アフリカは、経済規模が8倍の英国と同じ量の温室効果ガスを排出している。

また、この発電所プロジェクト(出力630MW)は、出資者のほとんどを失っており、アフリカ最大の投資ファンドである南アフリカの公共投資公社(The Public Investment Corporation)は、投資計画を断念したと述べ、丸紅と南アフリカの産業開発公社(The Industrial Development Corporation)も同じように投資計画を断念したとロイターは報じている。環境省は、本件へのコメントを求められてもすぐに回答しなかった。

なお、Thabametsi石炭火力発電所は、南アフリカの深刻な電力不足を緩和することを目的とした政府の独立系発電事業者プログラムの一環として2016年に入札が承認された2つの民間石炭火力プロジェクトの1つで、丸紅は韓国電力公社(KEPCO)と組んで出資していたが、KEPCOは既に先月撤退を表明していた。

(石炭開発部 奥園 昭彦)

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