南アフリカ:競争法廷、South32の南ア石炭資産SAECの売却を承認

掲載日:2021年1月14日

2020年12月24日付の現地報道によると、豪州のパースを拠点とするSouth32社は、Seriti Resources HoldingsへのSouth Africa Energy Coal (SAEC)社の株式91.835%の売却を承認するとした23日発表の競争法廷(Competition Tribunal)の決定を歓迎すると述べた。競争法廷は、売却の決定に至る前に、国営電力会社であるEskomを含む多数の利害関係者から事情聴取を行っている。

両社は2019年11月、拘束力のある条件付き売却契約を締結し、Seriti社はSouth32社に約1億ランドの前払い金を支払うとしていた。South32社のCEOであるGraham Kerr氏は、競争法廷による承認は、SAEC社の売却完了に向けた重要な一歩であると述べ、この取引にはEskom社からの承認を含む重要な条件が残っているが、これらの条件をクリアするための努力を続けており、2021年3月までの第1四半期中に完了する予定であると、同氏は述べた。South32社は、この売却で、売却後にSAEC社が生み出すキャッシュフローの49%を受け取ることになるが、受取は取引完了から2024年3月までの間で、年間15億ランドを上限としている。

Seriti社のCEOであるMike Teke氏は、この取引は同社にとって、南アフリカ鉱業の覇者になるという目標に向けた戦略的な道程の中で重要な一歩であり、戦略的には、南アフリカのエネルギー安全保障及び国内と輸出石炭市場の両方で重要なプレーヤーとして参加したいという願いを持つSeriti社にとっては、まさに成し遂げなければならない取引であり、我々は今後数カ月のうちに取引の最終的な部分で良い進展を遂げることが出来ると確信していると述べた。

なお、Seriti社は子会社であるSeriti Coal Proprietary Limitedを通じて、南アフリカでNew Vaal、New Denmark、Krielの3炭鉱を操業中で、年間約2,400万トンの一般炭をEskomのLethabo、Tutuka、Kriel発電所に供給している。また、SAEC社は、南アフリカでKhutala, Klipspruit, Middelburg及びWolvekransの4炭鉱と3つの選炭工場を操業し、国内向け及び輸出向けの一般炭を生産している。2019/20年度(2019年7月1日から2020年6月30日)の生産量は2,267万2千トン(国内向け1,255万2千トン、輸出向け1,012万トン)で、販売量は2,235万3千トン(国内販売1,263万8千トン、輸出971万5千トン)だった。このため、Seriti社とSAEC社の国内向け一般炭の生産量を合わせると、年間で約3,700万トンとなる。全量をEskomに供給するとした場合には、Eskomの2019/20年度の石炭消費量は約1億1千万トンであったことから、Eskomの石炭消費量の3割以上を占めることになり、Eskomへの最大の石炭納入者となる。

(石炭開発部 奥園 昭彦)

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