モンゴル:ロシアがモンゴルの石炭輸出市場を奪う可能性

掲載日:2021年1月21日

1月6日の現地報道によると、モンゴルは2020年12月前半時点で2,720万トン(前年同期比22%減)を、12月前半に59.8万トン(先月比72%減、前年同期比5%増)の石炭を輸出した。12月末のGashuunsukhait検問所の輸出量は140~375台/日だった。

中国のXMXYG国営会社がモンゴル、インドネシア、ロシアなどからの石炭輸入量を増大させると報じた。SXCoal社によると、XMXYG国営会社がE-Commodities Holdings社(旧名Winsway)と協力し、モンゴルにおける原料炭及び一般炭ビジネスへ進出するために合弁会社を設立した。これにより中国の北部から南部への石炭輸送能力、石炭供給が改善される。

モンゴルの銅、石炭輸出の有力な競争相手はロシアである。モンゴルとロシアは最大規模の市場である中国と隣接しているメリットがある。ロシアは2020年、中国へ5,500万トン/年を、インドへ3,000万トン/年の石炭を輸出し、将来、世界石炭市場の25%を占める戦略的計画を制定した。

ロシアは2025年にElegest炭鉱から1,500万トンの原料炭を輸出する予定である。また、Elga炭鉱を所有しているA-Property社は現在中国へ年間400~500万トンしか輸出していないがKolmar Groupと協力し、2023年から3,000万トンを選炭し、中国へ輸出する計画を立てている。Elga炭鉱の石炭はTavan Tolgoi炭田の石炭と競合することになる。モンゴルがCOVID-19対策で2019年第1四半期に石炭輸出を中止した間、ロシアが市場シェアを3.0%拡大した。

過去20年間、ロシアの石炭産業が飛躍的に発展しインフラ、選炭プラントを増設し世界石炭市場のシェアを3.5倍に拡大した。2024年までに採掘量を4億4,800万~5億3,000万トンとし、2035年までに4億8,500万~6億6,800万トンまで増加させる計画である。

ロシアのKolmar Groupは2020年9月に、年産1,200万トンのInaglinskii炭鉱で選炭プラントを開発した。

Elgacoal社は2021年に、Elga炭鉱から1,500~1,800万トンを中国市場へ供給するため、中国のGH-Shipping社と協力し合弁会社を設立した。同炭鉱からの石炭輸出量を2022年に2,000~2,400トン、2023年に3,000トン、それ以降4,500トンまで引き上げる方針である。また、新規の選炭プラントを開発し、Ulakターミナルまでの鉄道の輸送能力を3,000万トンまで拡張し、Vanino港の能力拡張を計画した。上記開発案件への総投資額は1,300億ルーブルである。

(北京事務所 塚田 裕之)

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