南アフリカ:今後1年間に3つの再エネラウンドを計画

掲載日:2021年2月4日

1月26日付の現地報道によると、南アフリカは、今後1年間で6,800MWの再生可能エネルギーと合計5,000MWの新たな石炭火力、ガス火力及び蓄電池のための3回の調達ラウンドを開始する計画であるとアフリカ民族会議(ANC)は、発表した。アフリカで最も工業化が進んだ国である南アフリカは、石炭火力発電に大きく依存しているが、電源の多様化に向けて動き出す計画である。南アフリカでは、経営難にある国営電力会社Eskomの発電トラブルにより定期的に停電が発生しており、これが国内への投資を抑制し、経済成長を阻害している。Cyril Ramaphosa大統領は、Eskomの改善と発電容量の追加を公約しているが、その進捗は遅々として進んでいない。

6,800MWの再エネに関しては、1月か2月に2,600MWの風力発電と太陽光発電の最初の調達ラウンドを開始し、8月に2,600MWの第2ラウンド、2022年1月か2月に1,600MWの第3ラウンドを開始することを計画していることが示された。また、5,000MWに関しては、9 月頃には約 500MW の蓄電池の調達ラウンドが始まり、12 月頃には1,500MWの石炭火力と3,000MW のガス火力の調達ラウンドが行われる予定である。

石炭は主要なCO2排出源であることから問題視され、環境問題を理由に銀行は石炭プロジェクトへの融資にますます消極的になっている。ANCのスポークスマンは、これに対してのコメントを求められたが、答えなかった。エネルギー省の報道官は質問を受けたことを認めたが、すぐにはコメントできなかった。

ANCが想定している発電能力は、2030年までの電力ミックスを示した政府の統合資源計画(Integrated Resource Plan)に沿ったものである。2019年に更新された計画では、風力と太陽光のための大きな割り当てが含まれているが、新規石炭火力も含まれており、一部のアナリストは、燃料ロビイストをなだめようとしていると述べている。

(石炭開発部 奥園 昭彦)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ