英国:最後の石炭火力発電所が2024年9月に閉鎖へ

掲載日:2021年8月12日

8月4日の現地報道によると、ドイツに本社を置くUniper社は、同社の石炭火力発電所であるRatcliffe-on-Soar発電所での発電を、英国政府が法的な石炭火力の閉鎖を決めた1カ月前の2024年9月に終了する計画を発表した。Ratcliffe-on-Soar発電所は、ノッティンガムシャー州に位置し、500MWの発電ユニットを4基保有している。Uniper社の計画では、まず2022年9月に1基が停止し、その2年後に残りの3基が停止する予定である。

ノッティンガムシャー州でWest Burton A発電所を所有・運営するEDF社は、2022年9月までに同発電所を閉鎖することを計画しており、ノースヨークシャー州SelbyにあるDrax社の石炭火力発電も同日までに閉鎖予定であるが、可能であればもっと早く閉鎖される。現在、英国ではこの3つの発電所が最後の石炭火力発電所となっており、法的には、2024年10月末までに発電を停止することが求められているため、Ratcliffe-on-Soar発電所が、英国最後の石炭火力発電所となる。

Uniper社は声明の中で、この決定について従業員およびエネルギー部門の労働組合に説明したと述べるとともに英国の発電に重要な貢献をしてくれた過去と現在の従業員に感謝し、従業員の再雇用と再教育のための最善の機会を探していくとしている。また、同社は発電所の跡地にEast Midlands地域のゼロカーボン技術とエネルギーのハブを構築することを意図しており、East Midlands Energy Re-Generation (EMERGE) センターと呼ばれる廃棄物処理施設を開発する計画許可を既に取得している。同センターの建設は、2022年後半に開始予定で、計画通りに進めば、2025年にフル操業を予定している。この施設は49.9MWの発電能力を持ち、これまで埋め立てられていた年間最大50万トンの廃棄物を処理する予定である。

同社は、2035年までにすべての発電所をカーボンニュートラルにすることを欧州における気候変動対策の目標としている。ドイツではすでに石炭からの撤退を計画しており、2024年9月以降の石炭市場は、ロシアとオランダのみとなる。2035年までにカーボンニュートラルを実現するための計画は、EfW(廃棄物エネルギー:Energy from Waste)、水力、原子力発電の規模拡大、ガスの「グリーンガス」と低炭素水素への置換、残存するガスサイトへの炭素回収装置の設置、水素を動力源とする輸送への投資などが中心となる。

なお、Ratcliffe-on-Soar発電所は1968年に運転を開始した石炭火力発電所で、Uniper社は2015年からこの発電所を所有している。英国政府が発表した最新のエネルギー統計ダイジェストによると、2020年の発電量に占める再生可能エネルギーの割合は過去最高となり、石炭の割合は1.8%に低下した。

(石炭開発部 奥園 昭彦)

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