米国:2011年以降に退役した石炭火力の約70%が瀝青炭火力

掲載日:2021年9月16日

9月2日の現地報道によると、数十年にわたって米国の発電所で優位を保ってきた瀝青炭は、石炭火力発電所の退役が進むにつれ、大きな打撃を受けている。

米国エネルギー情報局(EIA)の報告書によると、過去10年間に退役した石炭火力発電所の68%が瀝青炭によるもので、2011年には318GWあった石炭火力発電所のうち、約90GWが廃止された。

瀝青炭は主にアパラチア及びイリノイ堆積盆で採掘され、亜瀝青炭、褐炭、そして比較的希少な無煙炭に比べて豊富でエネルギー密度が高いことから、古くから重宝されてきた。EIAによると、現存する石炭火力発電所のうち、亜歴青炭火力発電所は石炭価格が安いため、経済的な競争力が高いと考えられている。例えば、最近の調査ではワイオミング州のパウダーリバーベイスンの石炭価格(亜瀝青炭)は1ショートトンあたり11.90ドルで、アパラチア地方では60ドル、イリノイ地方では35ドルだった。

しかし、その多くは、過去10年間に米国で建設された94.5GWの天然ガス火力発電所に取って代わられた。ウェストバージニア州、ペンシルバニア州、オハイオ州のかつて石炭が豊富だった地域では、Marcellus頁岩やUtica頁岩からの生産性の高いシェルガスによってエネルギー事情が一変した。

天然ガスは現在、米国の電力構成の約38%を占めており、かつては石炭が占めていた主要部分であるが、現在では石炭の占める割合は20%近くまで低下している。

(石炭開発部 奥園 昭彦)

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