中国:習近平国家主席が海外の石炭火力発電所の新規建設停止を表明 

掲載日:2021年9月30日

9月22日付けの現地報道によると、21日、習近平国家主席は第76回国連総会の一般討論でビデオ演説を行い、「中国は発展途上国の低炭素推進を強力に支援し、海外での石炭火力発電所の新規建設を行わない」と表明した。

「確固たる信念をもって難局を乗り越え、より良い世界を共に構築する」と題した演説の趣旨は以下のとおりである。「地球環境のガバナンスを向上させ、気候変動に積極的に対応し、人と自然の生命共同体を構築する。緑と低炭素の変革を加速し、グリーンリカバリーを実現する。中国は2030年までにCO2排出ピークアウトを、2060年までにカーボンニュートラルを達成するために最大限の努力を注ぐ。中国は発展途上国のエネルギーのグリーン化と低炭素化を強力に支援し、海外での石炭火力発電所の新規建設を行わない。」

多くの海外メディアは、中国のこの宣言が世界の石炭火力発電所に与える意義は大きいとしており、米国のナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)は、これにより、世界の石炭火力発電の発展が極めて抑制的になるだろうと述べている。また、ニューヨーク・タイムズによると、この決定により、インド、トルコ、南アフリカといった石炭消費大国が影響を受け、更なるジレンマに陥る可能性があると言及している。

北京の緑色金融国際研究院のデータによると、現在、世界では70%以上の石炭火力発電所が中国の資金に依存しており、同国は世界最大の石炭火力発電所の融資元となっている。同研究院のデータによると、2014年~2020年の間に、中国では、海外で約1,600億米ドルの石炭火力発電所を建設する計画とされていたが、880億米ドルのプロジェクトが既に棚上げやキャンセルとなった。2014年以降に発表された52件のプロジェクトのうち、1件が運営段階に入っているのみであるという。

米国の環境NGO自然資源保護協議会(NRDC)のManish Bapna社長兼CEOは「中国がグラスゴー気候サミットを前にこの決定を発表したことは、重要な一歩であり、中国及びその他の主要国が、更なる気候目標達成への取組みを行う道を開いた」と述べた。また、同協議会のJake Schmidt顧問は、「中国が世界の気候変動分野の牽引者を目指すのであれば、海外の石炭火力発電所の主要融資元になってはならない」とし、「そのために、この宣言が大きな一歩である」と述べている。

この他、カリブ諸島グレナダのSimon Stiell環境大臣は、「これは世界最大の石炭火力発電所の融資国が歩き出した重要な一歩であり、中国国内での相応の行動についても期待している」と述べており、中国の今回の決定が、省エネ・炭素削減分野の専門家たちから肯定的に受け止められていることが窺える。

なお、ブルームバーグによると、2021年上半期において、「一帯一路」政策は、石炭プロジェクトに対し資金提供を行っていない。これは、「一帯一路」構想が提唱されて以来、初とされている。

(北京事務所 塚田 裕之)

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