中国:【分析記事】中国企業の海外石炭火力発電プロジェクト増加の背景と、今後の海外市場シェア拡大戦略について

掲載日:2021年9月30日

9月21日に行われた習近平国家主席による海外での石炭火力発電所新規建設中止の発表に、大きな注目が集まっている。これについて22日、現地報道は、中国企業の海外石炭火力発電プロジェクト増加の背景と、今後の海外市場シェア獲得に関する分析記事を掲載している。

中国能源研究院会特任研究員の董曉宇氏によると、2000年~2018年の間に、中国の企業及び政策系銀行は、主に東南アジア、南アジア及びアフリカを対象として、合計777件の海外電力プロジェクトへの投資または支援を行った。そのうち石炭プロジェクトが全体の発電容量の40%を占めているという(国際関連機関の統計データに基づく)。

1,海外における石炭火力発電プロジェクトの増加について
董氏は、中国企業の海外における石炭火力発電プロジェクトの増加について、主な要因として以下の2点を挙げている。

第1に、需要の増加である。上述した東南アジア、南アジア及びアフリカといった地域では電力供給がタイト化しており、効果を得るまでの期間が短いとされている火力発電プロジェクトへのニーズが高まる傾向にある。しかし、自国では技術力やエンジニア分野における知見が不足していることから、豊富な経験を有する中国の石炭発電企業に需要が集まる。

第2に、石炭火力発電プロジェクトは投資の規模が大きく、回収までの期間が長いことから、上述の国々では自ら賄うことができず、中国が提供する政府支援型プロジェクトを利用する。

2,今後の海外市場シェア拡大戦略について
それでは、中国の石炭火力発電企業にとって、今後海外石炭火力発電プロジェクトを行わないとすると、如何にして海外市場シェアを維持・拡大していくのか?

董氏によると、グリーン低炭素のへの要求の高まりに伴い、中国の国内石炭火力発電企業は、海外石炭発電プロジェクトから積極的に再生可能エネルギープロジェクトへの転換を進めており、石炭火力発電プロジェクトが占める割合は低下傾向にあるという。

例えば、華能集団はシンガポールで全額出資の大型クリーン石炭火力発電所を自主的に開発・建設した。これは中国企業が海外で建設した初の全額出資によるクリーン石炭火力発電所であり、クリーン石炭先進技術を集結させたもので、海外の石炭火力発電プロジェクトの重要なモデルとなっている。

投資会社IPGの中国主席経済学者の柏文喜氏は、中国の石炭火力発電企業は、炭素削減目標の達成と、海外市場シェアの維持を両立させるために、海外の石炭火力発電事業を縮小し、グリーンエネルギー事業へシフトすることで、海外市場シェアの拡大を図っていると述べた。これは、新エネルギー発電市場の側面のみならず、技術進展や投資の側面からみても、プラスに働くとしている。

北京特億陽光新能源科技有限公司の祁海珅総裁は、「海外で行われているエネルギープロジェクトの多くが『一帯一路』参加国にあり、長期戦略や相互利益といった共通認識に基づいて行われている。港湾鉄道や石油ガスパイプラインの建設に関しても、新エネルギーグリーン電力等の新インフラ建設の協力に関しても、参加国の経済成長を大きく促進する。COVID-19の影響の収束後は、新型インフラ建設及びグリーン投資プロジェクトともに徐々に軌道に乗るだろう」と述べた。

(北京事務所 塚田 裕之)

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