英国:エネルギー危機の中で石炭発電所を稼働

掲載日:2021年9月30日

9月23日付の現地報道によると、同日、電力会社のDrax社は、天然ガス価格の高騰に直面している英国では、エネルギー供給を確保するために石炭火力発電所の稼働を余儀なくされていると述べた。発電での天然ガスへの依存が大きいため、特に欧州で進行中のエネルギー危機の影響を受けて、欧州のガス先物価格は5月以降、2倍以上に上昇している。

Drax社は、「石炭火力発電所は、エネルギーシステムが大きな圧力を受けている時に、電気を供給するという重要な役割を果たしている」と、述べている。イングランド北部のヨークシャーに国内最大の石炭火力発電所を所有する同社は、気候変動対策のために2021年中に石炭からバイオマスへの転換を計画していたが、CEOのWill Gardiner氏は、「今後は石炭の使用を拡大する可能性がある。我が国が大きな問題を抱えていることは重々承知しているが、我が社にできることがあれば、確実に実行することを考えるだろう」と、フィナンシャル・タイムズ紙に語った。

2024年10月までに石炭火力発電を廃止するという英国の計画は、遅れれば複雑になる可能性がある。2050年までに英国の二酸化炭素排出量を正味ゼロにすることを目指しているボリス・ジョンソン首相率いる政府は、11月にグラスゴーでCOP26国連気候サミットを開催する。

英国では先週、フランスとの電力網をつなぐ重要なポイントが火災に見舞われ、天然ガスの卸売価格が過去最高を記録した。価格の高騰は、北半球の寒い冬の間に需要がピークに達し、国内のエネルギー費用が高騰するのではないかとの懸念が生じている。また、Gardiner氏はフィナンシャル・タイムズ紙に対し、例年よりも気温が低ければ、英国は厳しい冬を迎えることになると述べている。

英国では、市場の慢性的な混乱の結果、ここ数週間で約150万人の消費者が国内のエネルギー供給会社の倒産に見舞われている。欧州のエネルギー危機は、風力発電用の風が不足していることに加え、原子力発電所の停止や、気候変動に配慮する政府による炭鉱の閉鎖などにより、さらに深刻化している。

(石炭開発部 奥園 昭彦)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ