ドイツ:RWE、2030年までに再生可能エネルギーに500億ユーロを投資

掲載日:2021年11月25日

11月16日の現地報道によると、ドイツのエッセンに本社を置くエネルギー企業であるRWE AG社は、再生可能エネルギーの発電設備容量を50GWに倍増させるため、2030年までに500億ユーロ(572億2,000万米ドル)を投資する計画を発表した。

RWE社の従来の再生可能エネルギーの年間増設目標は年平均1.5GWだったが、15日に発表した「Growing Green」戦略では、年平均2.5GWの増設を目指しており、洋上及び陸上風力発電、太陽光発電、バッテリー、ガス火力、水素などへ年間50億ユーロの投資を行うことになる。

同社の陸上風力発電及び太陽光発電の設備容量は、現在の7GWから2030年までに20GWに増加し、欧州と北米に重点が置かれている。太陽光発電の設備容量は1GWから8GWに、洋上風力発電は2.4GWから8GWに拡大し、グリーン水素製造用の電気分解設備容量を2GWにする計画である。さらに、蓄電池事業も5倍の3GWに拡大する計画で、現在合計0.6GWのプロジェクトが進行中である。

このグリーン投資の推進により、RWEの本業における調整後のEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は、10年後には50億ユーロに倍増する見込みである。

グリーンエネルギーへの大規模な投資にもかかわらず、RWE社は、今年の1~9月期にグループの成長要因の一つであった石炭事業の将来については沈黙を守り、2023年以降は石炭火力事業の営業利益への貢献度が低下するとだけ述べた。

しかしながら、褐炭事業からの撤退計画が示されていないため、少数株主であるEnkraft Capita社からは、「再生可能エネルギーへの投資を増やすことは良いことだが、それがRWE社に価値をもたらすのは、褐炭事業の終了による負担がなくなってからであり、褐炭事業からいかに早く手を引くかが、取締役会の第一の戦略目標であるべきだ」と批判の声が上がっている。
注:EUR 1 = USD 1.144

(石炭開発部 奥園 昭彦)

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