ポルトガル:石炭火力発電所を廃止、EUで4番目の廃止国となる

掲載日:2021年12月2日

11月22日の現地報道によると、ポルトガルは、先週末に最後まで残っていた石炭火力発電所を停止し、火力発電での石炭使用を廃止した。石炭火力発電所の廃止はEUの中では、4番目の国となる。

環境保護団体Zeroは声明の中で、ポルトガル中部にあるPego石炭火力発電所は同国で2番目のCO2排出源であったとし、「最大の温室効果ガスの発生源から解放されたことは、ポルトガルにとって記念すべき日である」と述べている。

同発電所のライセンスは11月末まであるが、19日には石炭在庫がなくなった。このため、20日はポルトガルで石炭火力を使わずに発電した最初の日となった。石炭火力発電所の廃止は、ポルトガルが目標とした2030年を9年前倒しで行われたが、既にヨーロッパでは、ベルギーが2016年に、オーストリアとスウェーデンが2020年に廃止している。一方、ポルトガルでは、電力の60~70%は再生可能エネルギーでまかなわれているが、エネルギー需要は、いまだに化石燃料の輸入に大きく依存している。

株式非公開グループのTejo Energiaが運営するPego発電所では、石炭の廃止は早かったものの、今後、木質ペレット燃焼に変更されるのではないかと懸念されている。環境団体Europe Beyond Coalは、「今の課題は、電力会社が石炭をガスや持続性のないバイオマスに置き換えるような過ちを犯さないようにすることである」と述べている。また、Zeroは、「石炭を止めて、次の最悪の燃料に切り替えることは、明らかに答えになっていない。風力や太陽光などの再生可能エネルギーの容量を急速に拡大することに焦点を当てるべきである」と述べている。

(石炭開発部 奥園 昭彦)

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