欧州: EUの石炭回帰、再生可能エネルギーの拡大により、小幅にとどまる

掲載日:2023年2月9日

1月31日付の地元メディアによると、欧州最大のガス供給国であったロシアは、2022年2月のウクライナ侵攻後、EUへの供給を大幅に減らし、EU加盟国(27カ国)をエネルギー不足と電力価格高騰の危機に陥れた。

英国シンクタンクの報告書によると、その結果、EUの発電量に占める石炭火力の割合は、2022年に前年比で1.5ポイント上昇した。

また、EUの2022年の石炭火力による発電量は前年比7%増の28TWhとなり、これによって電力部門のCO2排出量は4%近く押し上げられた。

一方、EUの2022年の太陽光発電は、前年比24%増の39TWhとなり、過去最高を記録した。太陽光発電の増加は、フランスの原子力発電所の休止や、気候変動に起因する干ばつの影響で水力発電の出力が減少したことによる供給不足を補った。

同報告書によると、「太陽光発電や風力発電が増加し、EUの電力需要が温暖な気候と消費者が物価高に苦しむ中で全体的に減少したため、石炭への大幅な回帰を防ぐことができた」と述べている。

EUは、石炭需要の増加は短期的なものであり、各国は再生可能エネルギーと省エネルギーによってロシア産ガスを大幅に代替していくべきであるとしている。

(石炭開発部 佐藤 譲)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ