豪州:VIC州政府、大型水素プロジェクト「HESC」におけるCCUS技術の商業的実証に対して賛否両論の意見

掲載日:2023年3月16日

3月8日付の地元メディアによると、VIC州政府では、同州の大型水素プロジェクト「Hydrogen Energy Supply Chain(HESC)」において川崎重工と岩谷産業のJV会社である日本水素エネルギー株式会社(JSE)が実施する、炭素回収利用貯留(CCUS)技術を利用して褐炭から水素を製造する「液化水素サプライチェーンの実証」に対する意見が賛否両論に分かれているとされている。

同実証には日本政府が、VIC州Tim Pallas貿易投資大臣との交渉などに基づき2,200億円(23.5億豪ドル)の助成を行うことが決定しており、同大臣は、同実証の実施に関して「日本政府と我が政府は、商業面、環境面、技術面の詳細調査を進めていく」と述べた。一方、VIC州D'Ambrosio気候変動担当及びエネルギー・資源大臣は同実証について「我が政府の規定する認可プロセスを経ることになるので、現時点で保証することはしない」としている。

VIC州政府は、同州における電源の100%を2025年までに再生可能エネルギーとするという目標を設定しており、この目標を達成するために、同州の電力企業State Electricity Commission(SEC)を州営化する政策、及び、同州Gippslandndなどに洋上風力発電所を建設してこれらの発電所の総出力を2032年~2040年に2GW~9GWへと段階的に増量するという政策を進めている。また、同メディアによると、SEC担当大臣を兼任するD'Ambrosio大臣は洋上風力発電の政策を強力に推進しており、石炭やガスのプロジェクトに対しては非常に厳格な姿勢であるとされている。

(シドニー事務所 Whatmore 康子)

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