米国: EPA、発電所の温室効果ガス排出量規制を設定すると発表

掲載日:2023年5月19日

5月12日付の米国メディアによると、米国の温室効果ガス排出量を規制し、削減するために、EPA(Environmental Protection Agency: 米国環境保護庁)は、大気汚染防止法に基づき基準を強化し、石炭および天然ガス火力発電所への排出規制を設定すると発表した。

EPAのリーガン長官は、パブリックコメント期間を経て、正式に提案される予定であることをコメントしている。

この規制を施行することで、2042年までに6億1700万メートルトンのCO2排出削減効果があり、現在の予定案のとおりに実施された場合、今後20年間で850億米ドルの経済効果があると推定される。

本件は、米国で初めて発電所に特化した連邦気候変動規制を実施することになり、発電施設は運輸部門に次いで2番目に排出量の高い部門であるところから、2030年までにCO2排出量を半減するという米国の目標達成に向けた重要なステップとなる。

他方、既に本法案の構想が明らかになった時点で共和党と全米鉱業協会の批判は激しく、本件施行に際しては、法廷で争われる可能性がある。

バイデン政権は、2035年までに米国内の全電力を風力、太陽光、原子力、水力発電を通じてネット・ゼロ移行させるという目標を掲げており、2021年の米国エネルギー情報局の統計によると、全米の石炭火力発電所は269基で、天然ガスとの価格競争、環境規制の遵守コストを踏まえた再エネとの競争に晒され、2011年の589基から減少している。

EPAは、排出基準こそ設けるが、排出量の削減手法は発電所(運営する民間企業)に依拠する。発電所の運営者は、炭素回収や水素のような発展途上の技術を駆使して、排出削減の要件充足に臨むことになる一方、本規制の施行で閉鎖に追い込まれる発電所が出てくることも想定される。

(ワシントン事務所 三田部 真理)

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