ロシア:ロシアとモンゴルは、中国から豪州炭を締め出すための足場を着実に築いている

掲載日:2023年5月26日

5月16日付の地元メディアによると、中国は2年の中断の後、豪州炭の輸入を再開した。1-4月のあいだに、8~10本の原料炭購入契約が締結されたと伝えられている。

2017-2020年のあいだ、中国は豪州から年間4,200万トンの石炭を輸入したが、中国政府の輸入禁止措置によって、2021年はゼロに落ち込んだ。輸入量の回復は、2023年末までに800~1,000万トン程度に留まると見込まれている。豪州炭が中国市場に復帰しない理由は、もはや政治的な理由ではなく、経済的な理由となっている。ロシアとモンゴルが、安さを武器に、豪州炭サプライヤーを締め出すべく、確実に中国に足場を築いているためだ。

中国のロシアからの輸入量は2023年末には2,200~2,400万トンレベルに達すると予想されている。モンゴルからの3月の輸入量は2月の約4倍、476万トンに増加、2023年末迄にはモンゴルからの石炭輸入は4,180万トンに達すると見込まれる。これは2022年比163%となる。供給量の増加は両国間を結ぶ新たな鉄道によるものだ。そして、ロシアにとっても、ロシア中国の二国間を結ぶ鉄道の稼働状況次第では更なる上積みが期待できると伝えられている。

(石炭開発部 栗林 聖一)

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