豪州:NSW州で大型石炭火力発電所の閉鎖時期が延長となる可能性、Vales Point発電所は2033年までと4年間の先送りへ

掲載日:2023年7月28日

豪州NSW州で、Earning発電所(出力規模2,880MW)やVales Point発電所(同1,320MW)の閉鎖時期が数年間、先送りとなる可能性のあることが明らかになった。

Eraring発電所は豪Origin Energy社が、Vales Point発電所はチェコ共和国の投資企業Sev.en Global International社が、それぞれ操業する。Origin Energy社は2022年2月に、Eraring発電所が電力供給を行う豪州東部電力市場「NEM」で温室効果ガス(GHG)低排出または無排出のエネルギーへの移行が進むためにも同発電所の閉鎖時期を予定より7年間早めて2025年8月とすると、豪州における電力及びガスの系統と市場を管理するAustralian Energy Market Operator(AEMO)に通知していたが、現在はこの閉鎖時期を延長するか否かについての検討を進めており、2023年の8月から年末にかけて、この検討の結果を出すとしている。

一方、Sev.en社は2023年7月、Vales Point発電所の閉鎖時期を当初予定の2029年から2033年へと先送りすることを、AEMOに通知している。同メディアは、両発電所の閉鎖時期が先送りとなる可能性が出ていることの背景について、「豪州では脱炭素に向けたエネルギー移行の速度が遅いとされていることがある」としている。また、NSW州政府は、NSW州のエネルギー移行における電力供給安定の維持に関する調査を2023年5月に開始しているが、同調査においては「Eraring発電所が2025年に閉鎖した場合に、電力供給や電力価格の面で生じるリスク」も調査事項に含めているとしており、同年8月にこの調査の結果を発表するとしている。

(シドニー事務所 Whatmore 康子)

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