米国: EIA短期エネルギー見通し: 2023年10月分(石炭)

掲載日:2023年10月20日

10月12日、米国エネルギー省エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration: EIA)が月例の短期エネルギー見通し(Short Term Energy Outlook: STEO)を発表した。10月公表のSTEOにおける米国の石炭に係る主な見通しの概要は以下の通りである。
 
太陽光及び風力由来を主とする再生可能エネルギーの発電容量の拡大は、来年の電力供給量の内訳に影響を及ぼす最大の要因となると考えられ、2024年春には前年同期間比で、天然ガス及び石炭火力由来の電力供給率の低減をもたらすことになると予測している(図1~3参照)。尚、石炭と天然ガスの関係については、石炭との比較において天然ガスが相対的に安価となったことも関わってくると考えられる。
 
2023年3月から同7月にかけ、ガス火力発電のコストは25ドル/メガワット時であった一方、石炭火力発電は同31ドル/メガワット時であった。そして2022年の同期間中の天然ガスによる発電コストは55ドル/メガワット時であり、石炭による発電コスト(29ドル/メガワット時)よりも90%高かった。2024年には、天然ガス価格が上昇し、石炭と天然ガスの発電コストが拮抗すると予測している。2024年全体では、石炭火力発電によるコストは平均29ドル/メガワット時となり、対して天然ガス火力発電のコストは平均32ドル/メガワット時になると推定される。2024年の米国の発電量の電源構成における石炭火力の比率は、平均15%近くになるとの見通しである。

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook October 2023」
図1 米国の電力セクター別発電容量(左)およびエネルギー源別発電量(右)


出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook October 2023」
図2 米国の石炭生産量(左)および年別生産量変化(右)


出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook October 2023」
図3 米国の石炭消費量(左)および年別消費量変化(右)
 
電力セクターにおける石炭の在庫量は、2023年12月には1億5,000万ショートトンに達すると予測している。これは2022年の同月比で66%の増加である。石炭の在庫量の拡大は、石炭生産者による既存の契約に基づいた納品分と、石炭火力発電による消費量のペースとの間の差異によるもの。石炭在庫量については、2024年春まで増加の一途を辿り、電力セクターの需要が高騰する夏季に備え始める直前の、5月にピークに達し、1億7,000万ショートトン近くとなると予測する。その後、石炭在庫量は低減し、秋口に石炭消費量が減る通常のサイクルに戻ることで、同年末頃には1億5,000万ショートトン未満にまで減少すると予測している。



 
 

(ワシントン事務所 三田部 真理)

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