米国:EIA短期エネルギー見通し: 2023年11月分(石炭)

掲載日:2023年11月17日

11月7日、米国エネルギー省エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration: EIA)が月例の短期エネルギー見通し(Short Term Energy Outlook: STEO)を発表した。11月公表のSTEOにおける米国の石炭に係る主な見通しの概要は以下の通りである。
 
米国における全電力供給量に占める石炭火力発電由来の電力が占める割合は、2023年に16%、2024年には15%となり、着々と低減していくと予測する(図1参照)。


出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook November 2023」
図1 米国の電力セクター別発電容量(左)およびエネルギー源別発電量(右)
 
米国における石炭生産量は2023年には5億8,500万ショートトンとなり、2024年には電力セクターにおける石炭需要の減退により2023年から1億ショートトン以上減少するとの見通しである(図2参照)。また電力セクターがすでに十分な量の石炭を備蓄していることも、生産量の減少に結びつくと考えられ、2023年半ば時点での石炭火力発電所における石炭備蓄量は、前年同時期の水準を50%上回っていた。 需要の低下は石炭価格を引き下げているものの、EIAの試算によると、依然として天然ガスに価格面で競合することはできないと考えられる。今次STEOでは、2024年の天然ガスによる発電コストは、平均3.50ドル/100万Btuとなると予測している。


出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook November 2023」
図2 米国の石炭生産量(左)および年別生産量変化(右)
 
米国の2023 年の石炭の輸出量は 前年比で13%増の9,700万ショートトンまで増加し、2024年には再び減少して9,400万ショートトンとなると予測している。尚、パンデミックにより輸出量が減少した2020年の輸出量は6,900万ショートトン、経済が回復しはじめた2022年には8,600万ショートトンであった。このように石炭輸出量がパンデミック以前の水準にまで戻ったのは、欧州及びアジア向けの一般炭及び原料炭の双方の輸出量が増大したことに由来する。欧州向けの輸出に関しては、ロシアによるウクライナ侵攻後、ロシア産石炭の輸出が禁じられたことによるものである。
 

(ワシントン事務所 三田部 真理)

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