カナダ: カナダ連邦政府、GlencoreによるTeck Resources社原料炭事業の買収を「非常に重要な取引」であると発言

掲載日:2023年11月24日

11月15日付の地元メディアによると、カナダ連邦政府は、Glencore主導によるTeck Resources(Teck)社の原料炭事業の買収に対して、カナダ投資法に基づき慎重に審査を行うと発言した。フリーランド連邦財務相は、本買収を「非常に重要な取引」であるとした上で、カナダ人の雇用と本拠地、先住民の権利と環境問題が優先事項であると述べた。同氏はすでにTeck社CEOと話をしており、また同社の原料炭事業の本拠地であるブリティッシュ・コロンビア州政府とも協議を行うという。

Glencoreは新たに設立されるElk Valley Resources社の本社を引き続きブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーに設置することや、取締役会及び上級幹部の過半数をカナダ人で構成することを含む、28項目のコミットメントを掲げている。しかしながら4千人以上のTeck社従業員を代表するUnited Steelworkers(カナダ鉄鋼労働組合西部支部)は、Glencoreの企業体質やコミュニケーション不足などを理由に、さらなるコミットメントがなければ本買収を支持しないと述べている。

15年以上前にInco社(ニッケル鉱山会社)やAlcan社(アルミニウム生産会社)といった国内最大手企業が相次いで買収されて以降、外国企業による大規模な鉱山買収はカナダにとってセンシティブな話題となっている。2010年にBHPがサスカチュワン州のPotash社の買収を提案した際には、当時の連邦首相はカナダにとって「純利益(net benefit)」にならないという理由でこの買収を阻止した経緯がある。他方で、近年カナダ投資法の審査延長を受ける企業数は増加しているものの、買収の全面的な却下は稀であることから、一部の専門家は、本買収は承認される可能性が高いとの見方も示している。

(バンクーバー事務所 佐藤 佑美)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ