米国:EIA短期エネルギー見通し: 2023年12月分(石炭)

掲載日:2024年1月12日

12月12日、米国エネルギー省エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration: EIA)が月例の短期エネルギー見通し(Short Term Energy Outlook: STEO)を発表した。12月公表のSTEOにおける米国の石炭に係る主な見通しの概要は以下の通りである。

石炭火力発電由来の電力の供給量は、再生可能エネルギーの成長や、天然ガス価格の低下、そして石炭火力発電所の閉鎖が相次いでいることを受け、急速に減少している。今次STEOでは、2024年の石炭火力発電由来の電力供給量は、2023年から減少し5,990億キロワット時となり、予測史上初めて太陽光及び風力発電由来の電力供給量の合計(6,880億キロワット時)を下回ることになると予測している(図1参照)。

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook December 2023」
図1 米国の電力セクター別発電容量(左)およびエネルギー源別発電量(右)

 
2024年の米国における石炭生産量は、2023年比で1億ショートトン以上減少し、4億8,600万ショートトンとなると予測する。これは1960年代以来最も低い水準である。国内の石炭生産量の大幅な減少は、消費量の10%の減少と、在庫量の12%の減少が反映されている。輸出量については2023年に17%増となるものの、2024年には主に一般炭の輸出の減少により、7%減となると予測している(図2、図3参照)。

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook December 2023」
図2 米国の石炭生産量(左)および年別生産量変化(右)


出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook December 2023」
図3 米国の石炭消費量(左)および年別消費量変化(右)

 
今次STEOでは、石炭火力発電所で使用される石炭の価格は、2024年12月には、同年1月の2.50ドル/100万Btuから2.41ドル/100万Btuに下落すると予測する。その一方で、ガス火力発電所で使用される天然ガス価格は同期間に40セント上昇し、3.83ドル/100万Btuとなると予測している。再生可能エネルギーの発電容量が拡大の一途を辿っていること、そして昨年成立したインフレ抑制法(Inflation Reduction Act: IRA)が、炭素排出量ゼロのエネルギーを支援していることにより、石炭は電力市場における競争力を更に失うこととなった。
 
2023年、米国におけるエネルギー関連の二酸化炭素排出量は、先だっての予測から3%減少した。同減少理由の大部分は、石炭消費量の減少によるものであり、2022年比で排出量の18%減少に貢献した。石油製品の消費に由来する排出量に変化はなく、また天然ガス関連の排出量は、2023年に1%増加した。今次STEOでは、全体的な二酸化炭素排出量は2024年に1%低下すると予測している。その一義的な理由は、石炭消費量の継続的な削減によるものであり、石炭関連の排出量は7%縮小すると見ている。2024年の天然ガス及び石油関連の消費量については、2023年の水準から変わらないと予測している。

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook December 2023」
図4 米国の電力セクター別二酸化炭素排出量(左)および年別排出量変化(右)

 

 
 

(ワシントン事務所 三田部 真理)

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