カナダ:AB州の石炭法をめぐり炭鉱企業5社が100億8,000万カナダドルの賠償を求めて州政府を提訴

掲載日:2024年1月26日

2023年12月12日付の地元メディアによると、石炭企業5社(カナダCabin Ridge Project社、豪州Atrum Coal社とその子会社のカナダElan Coal社、カナダBlack Eagle Mining社、カナダEvolve Power社)が、アルバータ州(AB州)の石炭法をめぐる政策により数十億ドルを失ったとして計100億8,000万カナダドルを求めて提訴した。この提訴に対して2024年初めにも公判が予定されている。

Atrum社、Elan社及びBlack Eagle社によれば、2019年の時点では州政府によって奨励され、全社とも以前の規則に基づき、数百万ドルを費やして原料炭の生産を含むプロジェクトを進めたが、政府の方針転換と開発モラトリアムによって資金繰りに行き詰まり、使用できない土地を抱えることになったと主張している。

この提訴はAB州における石炭法の変転による背景がある。AB州では1976年に制定された石炭法において、ロッキー山脈に挟まれた脆弱な生態系と流域を露天掘り炭鉱から保護するため土地カテゴリーを指定していた。その後AB州政府は2020年、この分類が投資の障壁となり産業界を混乱させるとして石炭法を廃止した。だが同州民の猛反発により2021年に同法を復活させ、影響を受けやすい土地での探査事業を中止し、新たな炭鉱の候補地となっていた一連のリース契約を取り消すとともに、新しい石炭採掘規則について州民と協議する委員会を発足させた。2022年には、当時のSavage AB州エネルギー相は、石炭探査の無期限モラトリアムを宣言している。

(バンクーバー事務所 佐藤 佑美)

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