インド:2024年初頭の電力需給バランスのタイト感は緩和

掲載日:2024年2月9日

2月1日付の地元メディアによると、インドの2024年初頭の電力需給バランスのタイト感は、石炭生産量の増加および再生可能エネルギーの大量導入により前年度に比べ緩和された。

2023年は、モンスーンが弱かったため水力発電が抑制され、石炭火力発電に大きく依存せざるを得なくなった。そのため石炭の在庫は、10月に2,100万トンまで急激的に減少していたが、石炭の生産量が11月に10.97%、12月に10.74%増加を続けたため、石炭の在庫量は大幅に回復した。中央電力局のデータによると、2月1日時点の在庫は3,800万トンと2023年同時期の3,300万トン、2022年の2,500万トンに比べると増加している。これは、発電事業者の最低必要量の14日分にあたり、2023年の12日分、2022年の9日分より増加している。同国では、2021年9月~10月、2022年3月~4月に電力需給ひっ迫による停電に見舞われていたため、政府は石炭生産の促進および鉄道網の石炭輸送インフラ整備に注力し電力危機に対応してきた。

2024年は、発電所における石炭在庫は比較的余裕があるため、モンスーン到来前の最も電力需要が高くなる3月~4月に気温が例年よりさらに高くなったとしても、停電のリスクを最小限に抑えられると予測されている。

また、再生可能エネルギーの大規模な拡大を通じて石炭供給への圧力が緩和されている。中央電力局のデータによると、2023年末時点での総発電設備容量は428GW、うち、石炭が207GW、再生可能エネルギーが180.8GW(うち、太陽光73.3GW、風力44.7GW)となった。2022年同時期の総発電設備容量は410GW、うち、石炭が203GW、再生可能エネルギーが167.8GW(うち、太陽光63.3GW、風力41.9GW)だった。再生エネルギーは、気候等の影響により発電出力が断続的ではあるものの、発電設備容量の増加により電力需給ひっ迫のリスク軽減に一助し、停電のリスクを減らしている。

(石炭開発部 高山 英子)

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