インドネシア:石炭採掘事業者、政府の野心的な2024年の石炭生産目標について懸念を表明

掲載日:2024年4月5日

3月23日付の地元メディアによると、インドネシア石炭協会(APBI)が9億トンを超える政府の野心的な2024年の石炭生産目標について懸念を表明した。同協会は、すでに供給が過剰となっている世界市場の中で、石炭価格がさらに下落することを懸念している。

APBIの事務局長Hendra氏は 、生産目標が当初予想されていた7億1,000万トンから9億2,214万トンに大幅に増えたことに驚きを示した。「2024年の生産目標が9億トン以上に大幅に引き上げられたことで、我々が懸念している潜在的な価格圧力が強まっている」と23日の地元メディアとの会見で、述べた。2022年にピークを迎えた石炭価格は2023年まで下落基調にあり、この傾向は2025年まで続くと予測している。2024年1月から3月の平均石炭価格は1トン当たり110米ドルから130米ドルの間で推移し、2023年1月に記録した1トン当たり300米ドルから大幅に修正された。

また、同氏は、政府の姿勢を認めつつも、石炭業界における差し迫った課題、特にエネルギートランジションに関わる課題を強調した。ロイヤルティ料率の引き上げ、石炭補償基金管理機関パートナー(MIP)を通じて石炭補償金を徴収する新しいスキーム導入による石炭採掘事業者のキャッシュフロー管理上の負担といった問題を、石炭採掘事業者にとっての大きなハードルとして指摘した。「政府は、エネルギートランジションが進む中で、石炭採掘事業の持続可能性を担保するために、これらの問題を軽減する必要がある」とHendra氏は訴えた。
 
最近の政府統計によると、インドネシアの2023年の石炭生産量は7億7,500万トンを記録し、同年の生産目標6億9,450万トンを大幅に上回った。このうち5億2,100万トンが輸出され、残りは国内需要のために使われている。

(石炭開発部 佐藤 譲)

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