米国:EIA短期エネルギー見通し: 2024年5月分(石炭)
掲載日:2024年5月10日
5月7日、米国エネルギー省エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration: EIA)が月例の短期エネルギー見通し(Short Term Energy Outlook: STEO)を発表した。5月公表のSTEOにおける米国の石炭に係る主な見通しの概要は以下の通りである。
今次STEOでは、米国の電力生産量について、天然ガス価格の停滞と、石炭火力発電所の閉鎖が相次いでいることにより、米国における石炭火力発電由来の電力供給量は引き続き縮小し、2024年には前年比で4%(280億キロワット時)、2025年には同7%(480億キロワット時)、それぞれ減少すると予測する。
石炭市場についてEIAは、今年2月の米国の実際の原料炭輸出量は、4月のSTEOでの予測を上回る量の石炭が輸出されたことが明らかとなったとし、2月に輸出された石炭の大部分はアパラチア地域で生産されたものであり、メリーランド州ボルチモア港から輸出された石炭の20%を占めていたと報告している。2月の輸出量が4月STEOでの予測を上回ったこと、そして3月に起きたボルチモア港の事故後の復興が進んでいることにより、4月及び5月における米国からの原料炭の輸出量は、合計800万ショートトンとなると見ており、これは4月STEOでの予測から13%の上方修正である(図1参照)。
先月時点では、ボルチモア港の状況の不透明性により、原料炭の輸出は大幅に縮小すると予測していた。

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook May 2024」
図1 米国の原料炭における月別輸出量(単位:100万ショートトン)
米国における石炭生産量は、3月から4月にかけて19%減少した。これは、在庫量が増える季節に向かう中で、鉱山会社が生産を抑制したことによるものと分析している。その後生産量は徐々に拡大し、8月にピークとなる4,900万ショートトンに達した後、年末にかけて再度低減すると見ている。今次STEOでは、米国からの石炭輸出量は4月STEOでの予測を上回ると見ている。これに基づき2024年の生産量予測を3%上方修正し、同年の生産量を5億ショートトンと予測している。2025年については前年比で1%程度低減し、4億9,000万ショートトンとなると見込んでいる。(図2参照)

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook May 2024」
図2 米国の月別石炭生産量(単位:100万ショートトン)
今次STEOでは、米国における二酸化炭素排出量は、2024年から2025年にかけて1%低下すると予測する。同微減は、エネルギーミックスにおける変化を反映したものである。石炭関連の排出量は、石炭火力発電施設の閉鎖及び稼働の縮小傾向が持続していることを受け、2024年には前年比で4%減少すると予測している。
今次STEOでは、米国の電力生産量について、天然ガス価格の停滞と、石炭火力発電所の閉鎖が相次いでいることにより、米国における石炭火力発電由来の電力供給量は引き続き縮小し、2024年には前年比で4%(280億キロワット時)、2025年には同7%(480億キロワット時)、それぞれ減少すると予測する。
石炭市場についてEIAは、今年2月の米国の実際の原料炭輸出量は、4月のSTEOでの予測を上回る量の石炭が輸出されたことが明らかとなったとし、2月に輸出された石炭の大部分はアパラチア地域で生産されたものであり、メリーランド州ボルチモア港から輸出された石炭の20%を占めていたと報告している。2月の輸出量が4月STEOでの予測を上回ったこと、そして3月に起きたボルチモア港の事故後の復興が進んでいることにより、4月及び5月における米国からの原料炭の輸出量は、合計800万ショートトンとなると見ており、これは4月STEOでの予測から13%の上方修正である(図1参照)。
先月時点では、ボルチモア港の状況の不透明性により、原料炭の輸出は大幅に縮小すると予測していた。

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook May 2024」
図1 米国の原料炭における月別輸出量(単位:100万ショートトン)
米国における石炭生産量は、3月から4月にかけて19%減少した。これは、在庫量が増える季節に向かう中で、鉱山会社が生産を抑制したことによるものと分析している。その後生産量は徐々に拡大し、8月にピークとなる4,900万ショートトンに達した後、年末にかけて再度低減すると見ている。今次STEOでは、米国からの石炭輸出量は4月STEOでの予測を上回ると見ている。これに基づき2024年の生産量予測を3%上方修正し、同年の生産量を5億ショートトンと予測している。2025年については前年比で1%程度低減し、4億9,000万ショートトンとなると見込んでいる。(図2参照)

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook May 2024」
図2 米国の月別石炭生産量(単位:100万ショートトン)
今次STEOでは、米国における二酸化炭素排出量は、2024年から2025年にかけて1%低下すると予測する。同微減は、エネルギーミックスにおける変化を反映したものである。石炭関連の排出量は、石炭火力発電施設の閉鎖及び稼働の縮小傾向が持続していることを受け、2024年には前年比で4%減少すると予測している。
(ワシントン事務所 三田部 真理)
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