ドイツ:経済省、石炭火力廃止の影響に関する報告書発表を2025年まで延期

掲載日:2024年6月21日

6月5日付の欧州のメディアによると、ドイツ経済省は、脱石炭がエネルギー安全保障、電力価格、そして気候変動への目標に及ぼす影響に関する報告書の発表を延期すると発表した。

本報告書は、脱炭素を目指す一環として2020年に施行された、石炭火力発電の削減・廃止に係る石炭廃止法(Kohleverstromungsbeendigungsgesetz: KVBG)で法的に義務づけられている。当初予定されていた2022年夏の発表から3年近く遅れ、来年2025年の春に延期される可能性が高い。

この延期の背景として、ミヒャエル・ケルナー国務長官は、エネルギー危機と、同省が既に発表しているドイツ大手石炭企業LEAG社の石炭火力発電からの撤退に対する補償金支援となる発電所戦略への取り組みが、報告書を遅らせる大きな要因になっていると述べている。メルケル前政権は2038年までに石炭火力発電の段階的廃止としているが、オラフ・ショルツ首相率いる現連立政権は、2030年までに前倒しすることを計画している。

ドイツ政府はこの段階的廃止の支援として2020年に、ドイツのエネルギー会社RWE社およびLEAG社に対し、2038年までに石炭火力発電所を閉鎖する補償金として数十億ユーロを支払うことに同意したが、この国家支援に対して欧州委員会は調査を行い、RWE社に対して2022年に26億ユーロ、LEAG社に対しては今年6月に最大17億5,000万ユーロとなるドイツによる補償金の支払いを承認している(2024年6月14日付:欧州委員会、ドイツの石炭火力発電からの撤退に対する最大17億5,000万ユーロの補償金を条件付きで承認https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/240614_1.html参照)

(石炭開発部 福水 理佳)

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