ロシア:制裁により石炭産業の利益が93%低下

掲載日:2024年7月5日

6月27日付現地メディアによると、ロシアの石炭産業が、国際的な制裁の影響に苦しんでいる。専門家によると、「ロシアの石炭産業は30以上の炭鉱都市と関係会社含め65万人の従業員から成り立つが、深刻な危機に直面している」と言う。

ロシア統計局によると、石炭産業の純利益は2024年1-4月で前年同期比93%下落した。2024年の最初の4か月を黒字で終えた企業は半数以下で、企業の52.4%が赤字だった(1年前は3分の2が黒字)。黒字会社の4か月間の総利益は約720億ルーブル(8億4,040万ドル)である一方、赤字会社の4か月間の総損失は約580億ルーブル(6億7,700万ドル)。結果、4か月間のロシアの石炭産業の総利益は143億ルーブル(1億6,340万ドル)となった。これは、前年同期より約2,000億ルーブル(23億ドル、93%)減少していることとなる。

制裁により西側市場から締め出されたロシアの石炭会社は、急速にクレムリンが友好国と呼ぶ国々の顧客を失っている。専門家によると、第1四半期でロシアの石炭輸出は13%減少し、特に3月には17%の減少となった。そして価格も3年ぶりの安値まで急落しており、極東の港で1トンあたり95ドル(年初来6%減)、タマン港で同72ドル(年初来13%減少)、バルト海沿岸港ではわずか61ドル(年初来14%減)になっていると専門家は言う。

この統計は、制裁によって生じた新たな現実に適応しようと苦闘するロシア石炭産業の厳しい実態を浮き彫りにしている。

(石炭開発部 栗林 聖一)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

レポート一覧

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただくには、アドビシステムズ社から無償配布されているAdobe Readerプラグインが必要です。

ページの先頭へ