フィリピン:フィリピン政府、石炭依存批判に対し、急速なエネルギー移行は困難で大国と比較すべきではないと言明
掲載日:2024年7月19日
7月8日、10日付現地報道によると、フィリピン政府は、再エネ移行を進めているが移行には時間と支援政策が必要であり、現在石炭に依存している事に対し大国と比較して述べるべきではないと言明した。これは、7月1日、エネルギーシンクタンクEmberがフィリピンはインドネシアと中国を上回り、東南アジアで最も石炭に依存する国となったとのデータを公表した事を受けて発言された。2023~2050年までのフィリピンエネルギー計画では、2030年までに再エネの割合を35%、2040年までに50%にすることを目標としているが、Emberの示したデータでは発電に占める石炭割合が59.1%(2022年)から61.9%(2023年)に上昇している。
これに対し、7月8日、アルセニオ・バリサカン国家経済開発庁(NEDA)長官は、フィリピンは先進国とは異なり、再エネへの迅速な移行に必要な技術と資金が不足しており、エネルギー移行に取り組んでいるものの、技術と資金へのアクセスが必要であると言及した。
また10日にはエネルギー省(DOE)が、フィリピンの電力構成は、他の大国と人口動態、経済、エネルギープロファイルが大きく異なっており、特に発電に占める石炭割合という点で直接比較すべきではないと述べた。
DOEは、2024年1月に公表されたGlobal Energy Monitor(GEM)報告では石炭発電所設置容量は中国が1,136.7GW、インドネシアが51.6GWの所、フィリピンはわずか12.1GWであるとし、「これは3カ国間のエネルギー経済インフラの規模に大きな差があることを浮き彫りにしている。更にこの格差は石炭発電所の総発電量ミックスにも表れている。2021年の石炭発電量は中国が5,417,848GWh、インドネシアが189,683GWhだが、フィリピンは65,052GWhしかなかった。2023年に69,472GWhに増加するとしても、フィリピンの数字は中国やインドネシアの数字を大幅に下回る」と付け加えた。
また、DOEによるとフィリピンの発電量に占める石炭の割合は依然として最大であるものの、石炭による世界排出量に占めるフィリピンの割合はわずかだという。欧州委員会(EC)の全球大気研究排出データベース(Emissions Database for Global Atmospheric Research:EDGAR)の2023年世界各国のGHG排出量報告書を引用し、中国は依然最大のGHG排出国で総排出量の29.2%を占め、インドネシアは2.3%で7位となっていたが、フィリピンは世界の排出量のわずか0.5%であった。
一方でDOEロウェナ・ゲバラ次官は、2025年までに少なくとも1,300メガワットの石炭火力発電所が稼動する見込みであると言及した。これは2020年の石炭プロジェクトモラトリアムを実施する以前に4件の石炭プロジェクトを承認していた事によるもので、DOEとしては2028年までには電力構成に占める再エネ割合が石炭を追い越すと予想しているとゲバラ次官は述べた。
これに対し、7月8日、アルセニオ・バリサカン国家経済開発庁(NEDA)長官は、フィリピンは先進国とは異なり、再エネへの迅速な移行に必要な技術と資金が不足しており、エネルギー移行に取り組んでいるものの、技術と資金へのアクセスが必要であると言及した。
また10日にはエネルギー省(DOE)が、フィリピンの電力構成は、他の大国と人口動態、経済、エネルギープロファイルが大きく異なっており、特に発電に占める石炭割合という点で直接比較すべきではないと述べた。
DOEは、2024年1月に公表されたGlobal Energy Monitor(GEM)報告では石炭発電所設置容量は中国が1,136.7GW、インドネシアが51.6GWの所、フィリピンはわずか12.1GWであるとし、「これは3カ国間のエネルギー経済インフラの規模に大きな差があることを浮き彫りにしている。更にこの格差は石炭発電所の総発電量ミックスにも表れている。2021年の石炭発電量は中国が5,417,848GWh、インドネシアが189,683GWhだが、フィリピンは65,052GWhしかなかった。2023年に69,472GWhに増加するとしても、フィリピンの数字は中国やインドネシアの数字を大幅に下回る」と付け加えた。
また、DOEによるとフィリピンの発電量に占める石炭の割合は依然として最大であるものの、石炭による世界排出量に占めるフィリピンの割合はわずかだという。欧州委員会(EC)の全球大気研究排出データベース(Emissions Database for Global Atmospheric Research:EDGAR)の2023年世界各国のGHG排出量報告書を引用し、中国は依然最大のGHG排出国で総排出量の29.2%を占め、インドネシアは2.3%で7位となっていたが、フィリピンは世界の排出量のわずか0.5%であった。
一方でDOEロウェナ・ゲバラ次官は、2025年までに少なくとも1,300メガワットの石炭火力発電所が稼動する見込みであると言及した。これは2020年の石炭プロジェクトモラトリアムを実施する以前に4件の石炭プロジェクトを承認していた事によるもので、DOEとしては2028年までには電力構成に占める再エネ割合が石炭を追い越すと予想しているとゲバラ次官は述べた。
(石炭開発部 宮崎 渉)
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