米国:EIA短期エネルギー見通し:2024年7月分(石炭)

掲載日:2024年7月26日

7月9日、米国エネルギー省エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration: EIA)が月例の短期エネルギー見通し(Short Term Energy Outlook: STEO)を発表した。7月公表のSTEOにおける米国の石炭に係る主な見通しの概要は以下の通りである。
 
今次STEOでは、2024年下半期の石炭火力由来の発電量は、天然ガス価格の上昇により、前年同期間比で100億キロワット時の増加(3%増)を遂げることになると見込んでいる。化石燃料由来の発電量が、天然ガス価格の影響を強く受けている現状に鑑み、7月のSTEOでは6月の予測を見直し、特に冬季の発電量に占める石炭火力由来の発電量の予測を上方修正した。6月のSTEOでは、2024年下半期の石炭火力由来の発電量は、前年同期間比で180億キロワット時減となると予測していた。
 
今年6月、例年よりも気温が高い日が続いたことにより、国内の電力部門における石炭消費量は、5月との比較において37%増となった。電力需要の拡大を賄うため、石炭火力発電由来の発電量が増加すると目されることを受け、2024年通年での米国の電力部門における石炭の消費量は増加して、3億9,500万ショートトン(395MMst)となり、その後、2025年には2024年比で2%低減すると予測する。このことを受け、国内における石炭生産量は、6月には対前月比で10%、7月に同6%、そして8月には同13%、それぞれ増加すると予測している。
 
米国における8月の石炭消費量は、5月から69%増加すると見ているが、同生産量は33%増に留まると見込んでいる。今夏の米国における石炭消費量は、同生産量を上回ることになる見通しであり、また3月にメリーランド州ボルチモアで起こった、フランシス・スコット・キー橋の崩落事故によって中断していた石炭輸出が先月再開したことを受け、米国の電力部門における石炭在庫は、5月の1億3,700万ショートトンから、8月には1億1,300万ショートトンに低減すると予測する。秋には米国の発電量が全体的に減少し、石炭消費量は大幅に縮小すると見られる。
 
2024年末時点での石炭在庫は、前年同時期比で12%減となる、1億1,500万ショートトンとなると予測する(図1参照)。また2025年末の在庫については、生産量の減少と輸出量の増加を受け、8,500万ショートトンとなると予測している(図2参照)。
 


出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook July 2024」
図1 2024年の米国の電力用石炭の在庫量の変化(単位:100万ショートトン)
 

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook July 2024」
図2 2025年の米国の電力用石炭の在庫量の変化(単位:100万ショートトン)
 

 

(ワシントン事務所 三田部 真理)

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