米国:EIA短期エネルギー見通し:2024年8月分(石炭)

掲載日:2024年8月23日

8月6日、米国エネルギー省エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration: EIA)が月例の短期エネルギー見通し(Short Term Energy Outlook:STEO)を発表した。8月公表のSTEOにおける米国の石炭に係る主な見通しの概要は以下の通りである。
 
今次STEOでは、米国の全発電量の内、石炭火力発電由来の発電量が占める割合は、最近の石炭火力発電所の閉鎖や、稼働中の施設でも稼働率が低下していることにより、2024年末までには史上最低水準となる16%にまで縮小すると予測している(図1参照)。

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook August 2024」
図1 2024年の米国の電力部門の年間発電量の割合(単位:%)と
年間発電容量の変化(単位:ギガワット)
 
2024年の米国における石炭生産量は、前年比で14%減の、5億ショートトン(500MMst)となり、2025年には更に2024年比の5%減となると予測する(図2参照)。米国は今後も引き続き活発に石炭を輸出すると見られるものの、石炭の国内生産量予測が減少の一途を辿っているのは、相対的に天然ガス価格が低下して国内の発電部門における石炭消費量が減少したことと、石炭火力発電施設の閉鎖により、合計12ギガワットの当該発電容量が失われる予定であることを反映したものである。
 
2024年の米国の発電部門における石炭消費量は、前年比で1%減となる、3億8,400万ショートトン(384MMst)となり、2025年の消費量は2024年比で更に2%低減すると予測する。
 
米国における石炭生産量は、消費量よりも急速に低減しているため、来年の消費分は在庫によって賄われることになると見ている。電力部門における石炭在庫は、2024年7月末時点で1億2,000万ショートトン(120MMst)であったが、2024年末には1億1,800万ショートトン(118MMst)に、2025年末には8,400万ショートトン(84MMst)となると予測している。

出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook August 2024」
図2 2022年から2025年の米国の月別石炭生産量の推移(単位:100万ショートトン)
 

 

(ワシントン事務所 三田部 真理)

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