カナダ:米加国際合同委員会、クーテナイ川における石炭採掘の影響について調査
掲載日:2024年8月23日
8月15日付地元記事によると、米国とカナダの当局で構成される国際合同委員会は、クーテナイ川(Kootenai)の炭鉱汚染・生態系に係る健康調査データを収集するため、8月27日までパブリックコメントを受け付けているという。
1909年、米加間で締結された境界水域条約(Boundary Waters Treaty)を締結し、当該条約において両国とも相手国の健康や財産に害を与える程度にまで越境して流れる水質を汚染してはならないと定めており、同委員会はこれらを監督している。
カナダ・ブリティッシュコロンビア(BC)州エルクバレー(Elk Valley)は、1世紀以上操業を行っている5炭鉱(山頂除去方式)があり、石炭採掘産業は当該地域の歴史と経済において大きな役割を果たしてきた。一方で、この石炭採掘過程で生成される過剰な鉱物がモンタナ州とアイダホ州を流れるクートナイ川に注ぐエルク川に流入しており、米国アイダホ州の先住民部族や環境保護団体が、水質汚染規制強化を米加当局に長年要求していた。特に流域の過剰なセレン濃度が、クーテナイ族が何年もかけて回復させようとしてきた魚の個体数を脅かしている、と地元紙は報じている。
2019年以降、アイダホ州自然保護連盟は国際合同委員会にこれら炭鉱汚染問題を取り上げるよう働きかけてきた。アイダホ自然保護連盟北アイダホのエクストロム理事によると、BC州から派生したセレン汚染はアイダホ州のクーテナイ川を越えて米国の水路に到達しているという。米国地質調査所の報告書によれば、セレンはコロンビア川に流れ込み、ワシントン州へと下流に向かうにつれて、水生生物に害を及ぼす可能性があるという。同氏は「炭鉱汚染に適切に対処し、米国の水域を確実に保護するための国際合同委員会の活動に、私たちは大きな期待を寄せている」と地元紙に語った。
2024年3月、米加政府は国際合同委員会に対し、流域の汚染とそれが人間や生物種に与える影響に関するデータを収集するための調査委員会を設置し行動を起こすよう要請した。調査委員会は1年以内に中間報告書を、2026年までに最終報告書と勧告書を提出しなければならない。
さらに委員会は、加BC州、米アイダホ州、米モンタナ州の代表と、アイダホ州のクートナイ部族およびセイリッシュ・クートナイ連合部族の代表で構成される統治機関を組織した。ガバナンス組織は調査委員会のデータを検討し、水質汚染の影響を軽減するための行動計画を策定する。
エクストロム氏は2024年7月にエルクバレーの炭鉱会社Teck Resources社がGlencore社に売却されたことを懸念し「水質汚染は永久に浄化され、緩和される保証が必要である」と述べた。(2019年9月24日付:「BC 州の越境河川におけるセレンによる水質汚染問題について(石炭編)」https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/template_report_topics_171208_00025.html参照)
1909年、米加間で締結された境界水域条約(Boundary Waters Treaty)を締結し、当該条約において両国とも相手国の健康や財産に害を与える程度にまで越境して流れる水質を汚染してはならないと定めており、同委員会はこれらを監督している。
カナダ・ブリティッシュコロンビア(BC)州エルクバレー(Elk Valley)は、1世紀以上操業を行っている5炭鉱(山頂除去方式)があり、石炭採掘産業は当該地域の歴史と経済において大きな役割を果たしてきた。一方で、この石炭採掘過程で生成される過剰な鉱物がモンタナ州とアイダホ州を流れるクートナイ川に注ぐエルク川に流入しており、米国アイダホ州の先住民部族や環境保護団体が、水質汚染規制強化を米加当局に長年要求していた。特に流域の過剰なセレン濃度が、クーテナイ族が何年もかけて回復させようとしてきた魚の個体数を脅かしている、と地元紙は報じている。
2019年以降、アイダホ州自然保護連盟は国際合同委員会にこれら炭鉱汚染問題を取り上げるよう働きかけてきた。アイダホ自然保護連盟北アイダホのエクストロム理事によると、BC州から派生したセレン汚染はアイダホ州のクーテナイ川を越えて米国の水路に到達しているという。米国地質調査所の報告書によれば、セレンはコロンビア川に流れ込み、ワシントン州へと下流に向かうにつれて、水生生物に害を及ぼす可能性があるという。同氏は「炭鉱汚染に適切に対処し、米国の水域を確実に保護するための国際合同委員会の活動に、私たちは大きな期待を寄せている」と地元紙に語った。
2024年3月、米加政府は国際合同委員会に対し、流域の汚染とそれが人間や生物種に与える影響に関するデータを収集するための調査委員会を設置し行動を起こすよう要請した。調査委員会は1年以内に中間報告書を、2026年までに最終報告書と勧告書を提出しなければならない。
さらに委員会は、加BC州、米アイダホ州、米モンタナ州の代表と、アイダホ州のクートナイ部族およびセイリッシュ・クートナイ連合部族の代表で構成される統治機関を組織した。ガバナンス組織は調査委員会のデータを検討し、水質汚染の影響を軽減するための行動計画を策定する。
エクストロム氏は2024年7月にエルクバレーの炭鉱会社Teck Resources社がGlencore社に売却されたことを懸念し「水質汚染は永久に浄化され、緩和される保証が必要である」と述べた。(2019年9月24日付:「BC 州の越境河川におけるセレンによる水質汚染問題について(石炭編)」https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/template_report_topics_171208_00025.html参照)
(石炭開発部 宮崎 渉)
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